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人種やジェンダー関係なく音楽を届けたい
―逆にいうと、Rol3ertさんの中では「上を目指したい」という気持ちが強くあったということですよね。Rol3ertさんが目指すものとは?
Rol3ert:具体的なものはいっぱいありますけど――それこそ、マディソン・スクエア・ガーデンでライブがしたいとか。でも結局は、さっき言ったように感情の動きみたいなものを自分で作りたいので、それが自分だけで完結せず、人種やジェンダーとか全く関係なくいろんな人に届いたらいいなと思います。僕の音楽が、気持ちを落ち着かせられるものとしてみんなのそばにある存在になればいいなと思う。誰一人残さずに全員を取り囲みつつ、僕自身が音楽から感じた落ち着きや安心をみんなに届けたい。目指しているところはそこだと思います。

―まさに“meaning”では、<選べない 居場所や 形が nightmareに / 変わらないのに / 意味もない 形が 時には血を流す>と人種やアイデンティティについて歌っていますよね。全ての人に届けたいという想いは、Rol3ertさんのどういった考えや経験からくるものなのでしょう。
Rol3ert:人間って、結局、どこかしらで差別意識を持ってしまうとは思うんですよ。でも……同じ人間なのに違う見方がされてしまうじゃないですか。“meaning”で歌ったように、そこに変な意味が突きつけられちゃって、苦しんでいる人もいれば、負い目に感じちゃう人もいる。音楽って、俺が聴いてきたものもそうですけど、邦楽とか洋楽関係なくいいものがいいじゃないですか。だから俺の音楽自体がよければ、人種も何も関係ないと思っているし、限定せずにいろんな人に届いたら俺自身も一番幸せになるんじゃないかなと思って作っていますね。
―アメリカで生まれて、2歳で日本に移られてきたそうですけど、そういったご自身のアイデンティティや人生経験からの想いもありますか?
Rol3ert:差別を受けたわけでもないし、そこに負い目を感じたこともないので、それが今の音楽の書き方に影響していることはないと思います。でもこの前、シカゴにあるインターナショナルクラブという場所へ遊びにいったらいろんな人種の人がいて、すっごく息がしやすかったんですよ。言語もカルチャーも違う中で、一人ひとりのカルチャーを否定したりもせず、溶け込めることが心地よかったというか。そのときも、日本人だけに固執せずいろんな人に届けるってこういうことなのかなと思いました。