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GRAPEVINEとラジオからの影響
ー中学時代はGRAPEVINEをよく聴いていたそうですね。
大石:お笑いにしても音楽にしても、はまるとしばらくはそれに集中してしまう性格で。GRAPEVINEを知ってから、擦り切れるほど聴いてたんですよね。小学生のときはアニメの曲やドラマの主題歌、当時流行していたORANGE RANGEとかを聴いていたと思うんですけど、GRAPEVINEは何だか大人っぽい雰囲気に惹かれたのかもしれないです。

―GRAPEVINEを知るきっかけになった曲はありますか?
大石:シングル曲の“スロウ”とか“光について”だったと思います。歌詞に、学生だった私にはピンとこないようなわからなさもあって、でもそこが気になるというか。わからないけど、わからないままでもいいのかな、みたいな。「とにかく最高なんだわ」とGRAPEVINEが好きな同級生と盛り上がってました。
―直接的過ぎない歌詞は現在の大石さんの作風とリンクする部分があるように思います。
大石:私はまっすぐ書くのがちょっと恥ずかしくて、照れがあるのかもしれないですけど、必ずしもわかりやすくなくていいんだという部分で影響を受けているかもしれない。GRAPEVINEの歌詞は文学的だと語られることが多いけど、ところどころに「この景色、知ってる気がする」みたいな、かなりキュンと来るポイントがあって。自分が書く歌詞からも、空気感や心の揺れみたいなものが浮かんだらいいなと常々思ってます。音の力も存分にかりながら、歌詞を受け取った人が各々でじわっと何か感じてくれたら嬉しい。聴いた全員が同じものを思い浮かべるより、そんな曲を作りたいですね。

―もともと詩や言葉にも興味・関心があったのでしょうか?
大石:お恥ずかしい話なんですけど、学生時代に本を読んできていなくて。集中力がなかったので、全然入ってこないんです。読んでるつもりでも文字を追ってるだけで、気づくと「あの番組録画したっけ」とか別のことを考えていて。読書には苦手意識があったので、文学はちょっと遠い存在でした。
―昔からお笑いが好きで、特にラジオを聴くのがお好きだそうですが、ずっと聴いていて、人格や価値観において影響を受けている番組はありますか?
大石:ラジオを聴き出したのは大学に入ってからで、通学しながら聴いてました。毎週聴いてたのはバナナマンの『バナナムーンGOLD』とか。番組内のヒムペキっていう替え歌のコーナーが好きだったけど、10年以上続いてたのに最近無くなってしまって、寂しいです。あとはダイアンの『よなよな…』も番組終了まで聴いてました。結構くだらないのがぼーっと聞けて好きかもしれない。馬鹿馬鹿しいメールを真剣に送るハガキ職人たち、みたいな存在も好きなんですよね。自分でもメールを送ったことがあるんですけど、すごい真剣にアホなことを考えるんですよ。コーヒーを飲みながら、あたかも仕事をしているような、論文を書いてるような感じで、人には見せられないようなことを書いてる時間。そういうのが好きですね。歌詞を書く時間と似てるかもしれない。人格形成と言えるかはわからないですけど、好きなものは何かと聞かれたら、ラジオと答えてます。音楽よりラジオを聴いている時間の方が長いと思います。