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千明と和平のように歳を重ねる自分を肯定するために

「どんな形であれ、ずっと生きていくんでしょ、私とあなたは」と言えるような人にふたたび出会った和平が、今も亡き妻の日課だった桜貝を集めつづけているエピソードも、シリーズ全体で描かれる「変化への肯定」の一つの形だと思う。カフェ・ナガクラの看板を桜貝で飾り、亡き妻のやりたかったことは『続』で成就したが、本作でも和平はつい桜貝を集めてしまう。たとえ新しい恋をしても大切な想いは消えない、無かったことにはならないというメッセージは、変化を恐れる私たちの心に何よりも強く響くのではないだろうか。
「さみしくない大人なんていない。大人は自分の時間が有限なことも、今から大きな素晴らしいことが起きないことも、知っているから。そして、歳を取ればとるほど、こんなに頑張って生きてきたのに、なんでこんなに社会に大切にされないんだろうと、生まれてきて、やがて老いていくことは、なんて切ないことなんだろうと思っているから」 第1話の冒頭で千明の独白は「でも、こうも思うのだ……」と続くのだが、特にこの部分が心に沁みた。コロナ禍なども挟んで、きっと今は、11年前よりも大変な時代なのだと思う。その中で、変化を少しずつでも、受け入れられるようになったなら。千明と和平のように歳を重ねたいつかの自分のことも、肯定できる日が来るような気がする。
『続・続・最後から二番目の恋』

フジテレビ系にて毎週月曜よる9時から放送中
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/nibanmeno_koi/