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えりなによる海ゴミアートが肯定するもの

たとえば長年、家にひきこもっていた万理子は、千明に声をかけられ、テレビドラマ業界に飛び込んだ。千明と恋愛関係になれなくても、せめて仕事では繋がりたい——そんな一途な思いから始めた脚本の仕事は、いつしか本業に。今では千明専属の売れっ子脚本家になっている。だが、千明が描きたい世界を実現することに心血を注いできた万理子にも、『続・続』で変化が訪れる。脚本家として描きたいことがなくても惨めに感じたことはなく、むしろ千明が作り出す世界の一部になれることが誇らしかった万理子。だが、第4話でこぼれ落ちた原因不明の涙は、いつしか芽生えたクリエイターとしての衝動と千明から離れたくない寂しさとの狭間で揺れる葛藤そのものだった。名プロデューサー千秋に「成長してるんだよ」と背中を押された万理子は、いつかの「心の成人式」に向かって歩み始めた。

かつては思春期の真っ只中にいたえりなも、『続・続』では24歳。第5話で父・和平を「かわいいな」「人としては好きだな」と語っていたことも微笑ましい変化だ。真平のカフェ・ナガクラを手伝うえりなは、美大を卒業した後、海ゴミアートクリエイターとしても活動している。一度は役目を終え、鎌倉の海に流れ着いた「海ゴミ」たちを拾い上げ、美しいアートへと生まれ変わらせる彼女の営みもまた、「変わりゆくこと」への静かな肯定に見える。そんなえりなの姿は、人生の後半に差し掛かった大人たちの物語の中で一際まぶしく、希望のようにも映るのだ。