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アートと音楽が愛し合うために必要なこと
アートと音楽。コラボレーションや異分野横断にともなってよく使われるこの組み合わせを通して、私たちはどんな未来を描けるだろうか? 思うにそれは、アイコンとして完成された作品を仰ぎ見ることではない。むしろそれがつくられるまでの過程やプロセスを共有できる場や通路を敷き、万人に向けて開き続けることにこそ協働や共生のチャンスがある。そのとき、音楽やダンスが持つ即興性や、多様なものを迎え入れ、また送り出しうる多孔性は、そのポテンシャルを十分に発揮するだろう。
『MUSIC LOVES ART』と文化庁が目指すグローバル展開の思想は、こういった開かれたプロセスやメソッドの共創的な開発でなく、海外にも輸出可能な自閉した完成型のコンテンツをつくることを志向するものだ。しかしそれは1970年の『大阪万博』が目指したものとも、『サマソニ大阪』で示された音楽の協働性からもかけ離れている。他者への無関心、それは「LOVE(愛)」がないこととイコールだ。ゆえに、そこには歴史の連続性もない。