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Momインタビュー 誠実な歌うたいが同時代に差し出した、等身大のエンパワーメント

2025.7.10

#MUSIC

「創作の中での政治性を浮かび上がらせたい」

―もうひとつ、アルバムのタイトルにある「ポリティクス」という言葉は、Momさんにとってどんなニュアンスを持つ言葉なんだと思いますか?

Mom:たとえば「ミュージシャンが政治を語るのはどうか?」みたいな議論を未だによく見るけど、そういった議論が起こること自体がそもそもおかしな話だなと思うんですが。

―うん。

Mom:ただその上で、「ミュージシャンと政治」みたいなことって、大体はこういうインタビューみたいな、オフィシャルな態度を指して言われるんですよね。逆に、創作の中での政治性を見出そうとする批評的な視点って、あまりボキャブラリーがないと思うんです。時事ネタみたいにワードとして社会的な関心が高いものが入っている、みたいなことが指摘されて、それでやっと、みたいな。

音楽アルバムを作るにあたって、人となんてことのない会話をする中に、一瞬、揺らぎがある。そういう方向から「今」を浮かび上がらせたかった。リリックや詞って、肉体的に響いてこそ飛躍するものだし、そういう創作表現の側からアプローチできる政治性って絶対にあるから。もちろんアクティビズムやスローガン的なものと接続していく方向性もあるし、やり方はひとつじゃない。たとえば映画やドラマのちょっとした会話から、「今」が浮かび上がってくる瞬間ってあるじゃないですか。

―ありますね。

Mom:そういうものを観ると「やっぱり、表現にはこれができるじゃん」と思うんですよ。もし、今切実に生きていて、社会のことなんて1ミリも考えられないくらい自分のことでいっぱいいっぱいの人がいたとしても、その人を歌うことで、絶対に「今」を語ることはできると思った。うまくいくときもあれば、シニカルになり過ぎちゃってうまくいかないときもあるけど、とにかく、自分の視点を通して「今」を歌うことで見えてくることがあれば、それはすごくいいことだと思うんです。

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