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Momインタビュー 誠実な歌うたいが同時代に差し出した、等身大のエンパワーメント

2025.7.10

#MUSIC

SNSネイティブの世代に対して明文化して伝えたい、SNS以外の世界の存在

―このアルバム、「子どもがよく出てくるアルバム」という印象が個人的にはあって。それは“A I s u g g e s t i ∞ n”の声もそうだし、あとは「ティーンネイジャー」という存在もそう。“ティーンエイジ≠ネイション”という曲もあるし、“# 天使よりもショットガンが欲しい”も若者を歌っているような曲だと感じました。

Mom:たしかに。アルバムを作っているとき、「ティーンに向けて歌いたい」と言っていたんです。それは自分の中にある「10代的なもの」の成仏という意味でもそうだし、今現実に10代として生きている人たちがどんなことを考えて、どんなふうに世界を見ているんだろう? ということを想像しながら作っていたっていう意味でもそうだし。

―今の10代の人たちを想像すると、どんなことを感じます?

Mom:今日ワードとして何回も出てきているけど、SNSがあるじゃないですか。たしか僕は高校生の頃にTwitterを始めたんですけど、高校からTwitterって、完全にネイティブっていう感じではなくて。自分の実生活や人間関係があったうえで、ある意味、補助的な世界としてバーチャルな空間があるっていう感覚が少なくとも自分にはある。だからこそTwitterでの気持ちの発露には一定のためらいがあるんですけど、物心ついたときからSNSがある若い世代は、きっと違和感なく一通り使っていけるんですよね。もちろん人によるとは思うけど。でも、「それってどういう感じなんだろう?」って、ふとしたときに考えちゃうんです。きっと、そこから振り落とされちゃう瞬間もあるじゃないですか、生きていれば。

―そうですね。

Mom:本当は世界には、いろんな時間の流れ方があると思うんです。人と喋っているときの時間とか、なにかを思い出しているときの時間とか。でも、たまにソーシャルメディア上で流れる時間が全部みたいに思ってしまう時があって。そんな風に感じてる人も多いんじゃないかなって思います。これは10代の子に限らずですけど。そういう人が、なにかの拍子にその流れから振り落とされてしまうことってあると思うんですよね。個人的に食らってしまう出来事が身の回りで起きたり、社会的な大きな出来事に気持ちが持って行かれたり。そうなったときに、自分の感情が攻撃的な方向に結びつくことや、「自分はもう死ぬしかない」くらいの気持ちになっちゃうこともあるかもしれなくて。そこに対して、僕は「いろいろな時間の流れがあるんだよ」ということを歌える気がしたんです。

―なるほど。

Mom:みんなスマホで聴いているだろうから、このアルバムを聴いている間にも通知は来るんだろうけど(笑)、でも、自分の歌があれば、意識はそこから1回解き放たれるんじゃないかっていう。「ネットとリアル、どっちが本当の自分か?」みたいな話は、別にもういいんです。SNSは承認欲求がどうこう、みたいな話をする気もない。承認欲求なんて、人間関係があれば普通に生まれるものなんだから。ただ、「いろんな時間の見え方や、時間の流れ方があるんだ」ということを、歌で伝えることができるんじゃないかと思った。今、なにかに必死にしがみつきながら「ここで頑張らないと」と思っている人が、ふとした拍子に穴に落ちちゃう瞬間があるとしたら、その瞬間を歌いたいと思った。それができれば、聴いた人も「ここには、ちゃんと時間があるんだ」と思えると思うから。

Mom“4RTIFICI4L L♡VE?“

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