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トリプルファイヤー・鳥居真道からの質問。Mockyのメロディーとベースラインの秘密

1987年生まれ。トリプルファイヤーのギタリスト。他アーティストのレコーディング・ライブへの参加および楽曲提供を行うほか、Rolling Stone誌でKraftwerkのコラム、Vulfpeckへのインタビューを担当する。
鳥居:バリー・マンとシンシア・ワイルのペンによるダスティ・スプリングフィールド“Just Little Lovin’”(1969年)を新作で取り上げた理由は? 1960年代西海岸のコーラスグループを思わせるアレンジがフレッシュでした。こうしたサウンドは日本では「ソフトロック」と呼ばれていて、カルト的な人気があります。
Mocky:Feistという大親友のコラボレーターがその曲を教えてくれて、すごく心に響いたんだよね。とてもシンプルだけど大事なテーマだと感じて、そこにバックビートをつけてみたのが始まりで。もともとはワルツだったのに全然違う雰囲気に変わって、すごく新鮮に聴こえたんです。それが嬉しくて録音したんだけど、これが僕にとって初めてのカバー曲になったよ。
鳥居:タイトル曲“Music Will Explain”の歌詞が興味深かったです。一般的な考えをすると、音楽の主体はあくまでミュージシャンであり、彼らが音楽を通じて何かを表現する、と言えるかと思います。しかし、この曲の主体は音楽そのものです。音楽に自律性があるという考え方はとても素敵だと思いました。この曲はどういう着想からできたのでしょうか?
Mocky:この曲は、感情と一緒に瞬間的に降りてきたんです。自分の心の声を聞いて、ピアノに歩み寄る途中、鍵盤に触る前にサビが頭のなかに鳴ってる感覚があって。音楽そのもののなかに潜って答えを探しているような気持ちというか。きっと誰もがそうやって音楽から、言葉では言い表せない感情を音やメロディーを感じ取っていると思うんだよね。
鳥居:Mockyさんの音楽はベースが躍動していて、踊らずにはいられません。影響を受けたベーシストはいますか? 好きなベースラインなどあれば教えてください。
Mocky:まさに! 僕にとってベースはメロディーで、曲のなかでずっとしゃべり続けるキャラクターみたいな感じ。数々のモータウンの名曲を支えたベーシスト、ジェームス・ジェマーソンが僕は大好きで、彼のベースラインはもう魔法みたいキャッチーだと思ってる。
もちろんスティーヴィー・ワンダーのベースラインも最高だし、他にもたくさんあるけど、有名なところだとハービー・ハンコックの“Chameleon”が大好き。