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キャリアを方向づけた「ジャズ」との出会いで学んだこと
─ジャズとの出会いも、大きく影響しているのかなと思いますが。
メイ:そうですね。私が通っていた高校にすごくいいジャズのプログラムがあったんです。そこでジャズを勉強しました。
─音楽学校ではなく、普通の高校の授業でジャズを学べたということですか?
メイ:はい。私が通っていた高校には、たまたま少人数のジャズバンドのプログラムがあって。アメリカの高校では結構ジャズの授業はあるんですけど、ビッグバンドがほとんどで、カルテットやクインテットのジャズをやる授業は少ないんです。
授業の内容自体はみんなが勉強するようなものと同じです。チャーリー・パーカーについて学んだり、ジャズスタンダードをいっぱい練習したり、音楽理論を勉強したり、演奏を楽譜に書き起こしてそれをコピーしたり。
─日本の学校では専門的なコースでなければそこまで音楽の授業で習うことはないですよ。普通にカリキュラムに組み込まれているのは、すごくいいことですね。
メイ:うん、すごくいい。私はそうやってジャズを学べてすごくうれしかったです。
─ジャズを学ぶなかでの発見といえば、何を思い浮かべます?
メイ:最初に一番好きになったのは、グラント・グリーンっていうギタリストです。
─粘り強いシングルトーンの反復で有名なギタリストですよね。「Blue Note」にソウルジャズの名盤をたくさん残してる。
メイ:あとは、ウェス・モンゴメリー、ジム・ホール、ギタリスト以外にも、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ジョン・コルトレーン、チャーリー・パーカー……。
─メイさんが高校に通っていたのは2010年代の後半で、その時期にはロバート・グラスパーやThundercatのようなジャズの新潮流もありましたよね?
メイ:その頃はあんまり聴いてなかったです。今はジャズギタリストのカート・ローゼンウィンケルやギラッド・ヘクセルマンとかすごく好きですね。
─ジャズってどういうところが面白いなと思います?
メイ:一人ひとりのミュージシャンのボイス、日本語でどう言うのかわからないけど、ミュージシャンの「声」がすごく大事。
─歌声という意味ではなく、その人の個性を表す音という意味でのボイスですよね。
メイ:そうです。自分のユニークなボイスがなかったら、もう意味がないって感じの音楽だと私は思います。それがジャズのすごくいいところ。
─高校卒業後は、ボストンのバークリー音楽院に進学しますが、かなりの決心が必要だったのでは?
メイ:わりと自然なことでしたね。親は「大学には行かないと」と言ってたし、じゃあどこに行けばいいのか考えてたんです。結構いろんな人にバークリーはすごくいいよと言われたので、そう決めました。
─入試はギターで? 最初からジャズ専攻? そもそも、どういう試験だったんでしょうか?
メイ:専攻は入試の時点では決めなくていいんですけど、オーディションで弾く楽器はあらかじめ決めないといけないんです。面接もあったけれど、きっと演奏のほうが大事だったと思います。
─バークリーでの授業は、高校時代のジャズカリキュラムとはまた違うものですよね。
メイ:結構、高校で勉強していたことを拡張した感じでした。高校で教わったことが、本当に役に立ったんです。
─その頃になると、作っていた曲も徐々に今の感じに近づいていた?
メイ:うん、そうですね。
