大正〜昭和を駆け抜けた日本の喜劇王、榎本健一(以下、エノケン)。今やそう言われてピンとくる人は、そこまで多くないかもしれないと率直に思う。音楽劇『エノケン』は、そんな喜劇人の人生を題材にした舞台作品。脚本を手がけたのが、又吉直樹だ。
日本の「お笑い」の原点のひとつ、と言って差し支えないであろうエノケン。そんな大先輩の人生を、又吉はどのように戯曲化したのか。近年ではカネコアヤノの取材などを手がけるライターの北沢夏音を聞き手に、エノケンの時代の喜劇と現代の「お笑い」との差異、コメディーとコントの違いなどを入り口にして取材した。
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1980年生まれ。大阪府寝屋川市出身。お笑いコンビ「ピース」として活動。2015年に文壇デビュー作の『火花』で、「第153回芥川賞」を受賞。著書に『東京百景』『劇場』『人間』など。自身のYouTubeチャンネル「渦」では「インスタントフィクション」で文章の解釈を解説。オフィシャルコミュニティ「月と散文」では、週3回書き下ろしの文章を更新中。脚本を書き下ろした音楽劇『エノケン』が2025年10月より上演される。