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藤本タツキ『ルックバック』は、なぜクリエイターに衝撃を与えたのか

2024.6.28

#MOVIE

漫画『ルックバック』に編み込まれた「時代性」

近年の『週刊少年ジャンプ』 連載作品の中でも、一際異彩を放った『チェンソーマン』を生み出し、漫画界のトップランナーとして活躍してきた藤本タツキ。『ルックバック』はそんな藤本タツキ自身を投影した内容となっている。彼自身、作中の主人公の一人・京本と同じく山形でモデルとなった美術大学に通った経歴があるのだが、大学に入る直前の2011年には東日本大震災を経験している。以降、18歳からずっと無力感のようなものがつきまとい、悲しい事件がある度に、自分がやっていることが何の役にも立たない感覚が大きくなってきたそうなのだが、『ルックバック』はまさにその気持ちを無理矢理消化し吐き出すための作品だった。『ルックバック』発表時点で東日本大震災から約10年。いまだ日本国民の心の奥底に落とした影は大きく、さらにコロナ禍の閉塞感も相まって作者同様に無力感を感じる人々も多かったのではないだろうか。『ルックバック』は、そんなタイミングで全員が心のどこかで感じていた創作や物語が持つフィクションとしての無力さを拾い上げ、フィクションだからこそできる力で現実の不条理を殴り飛ばして、救ってくれたのである。公開からすぐに大きな反響を呼んだ理由には、そんな時代性もあったと考えられる。

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