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大人が見落としがちな、子どもたちの「学び」が描かれる
次々と問題を引き起こすリロとスティッチは「困った存在」なのだが、本作ではそんな2人の成長も描かれる。リロはスティッチの破壊行為に対し、それが「悪いこと」だとしっかり教え、スティッチも自身を「悪い子」だと自己評価するなど、共に失敗を冷静に見つめて反省して学ぶ姿勢を見せている。


2人は、友達になったことをきっかけに、自分の良くないところを反省し、改める社会性を身につけていく。それは大人は気づきにくいかもしれないが、子どもたちには当たり前にある「学び」なのではないかとも思えるのだ。
また今作では、冷静な福祉士の女性のケコアや、ぶっきらぼうのようで優しい隣人のトゥトゥという新たなキャラクターも登場し、18歳のナニよりもさらに大人の立場の人物たちが、彼女らの身を心から案じているように見える。子どもたちの自発的な学びだけでなく、福祉や周りの大人たちのサポートの重要性も再認識できるだろう。


ちなみに、そのケコアを演じているのは、オリジナル版でナニの声を担当していたティア・カレル。トゥトゥ役のエイミー・ヒルも、オリジナル版では青果店で働くハセガワ・リンの声を務めていた。また、スティッチの声はオリジナルと同じく監督のクリス・サンダースが担当しており、『野生の島のロズ』の監督業と並行して本作に参加したとのこと(IMDbでのトリビアより)。こうしたキャスティングから、オリジナルへのリスペクトが見えるのも本作の美点だ。