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実写版『リロ&スティッチ』レビュー 子どもたちの目に映る世界から、大人が学ぶこと

2025.6.14

#MOVIE

日本で2025年6月6日に公開となった実写版『リロ&スティッチ』は、全米で3週連続全米No.1、すでに世界興行収入が7.7億ドル (日本円で約1108億円)を突破する大ヒットを記録している。

ディズニーのアニメ映画には、しばしば原作となる童話や伝説が存在するが、2002年の『リロ・アンド・スティッチ』は完全なオリジナル作品だ。プリンセスは登場せず、ファンタジーの王国が舞台でもないこの作品は、ディズニーの中でも異色と言えるだろう。それにもかかわらず高い評価を受け、スピンオフも多数制作されるなど、とても愛された作品である。

そして、今回の実写版では、オリジナルに忠実でありながら、新たな描写の追加によって「子どもの姿を通して大人が学べる」作品としての側面が明確になっている。また、本作が成功した大きな一因には、監督と作品の相性の良さもあるだろう。その理由を記していこう。

※本記事には映画の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

実写化で際立った「現実の問題」のリアリティ

オリジナル・アニメーション作品へのリスペクト、実写ならではのハワイの美しい景観や美術の魅力、そしてエイリアンのスティッチのかわいらしさや「もふもふ」っぷり——実写版『リロ&スティッチ』はあらゆる点で申し分のない出来映えだ。小さなお子さんでも飽きずに楽しめる見せ場が満載で、安心してファミリー層におすすめできる作品となっている。

6歳のリロと18歳の姉ナニは、両親を亡くして2人で暮らしている。ナニは保護者としての能力を福祉局から問われる立場だが、まだ若く経験も浅いため失敗も多い。家には未払いの請求書も溜まっている。

友達がおらず孤独を抱えるリロは、暴れん坊なエイリアン・スティッチと動物保護施設で運命的な出会いを果たし、一緒に暮らすことを望む。

ナニはリロを心から愛しているが、リロは意地悪を言ってきた女の子を押し倒してフラダンスの教室から追い出されたり、社会福祉士の前でまずいことを平気で言う、「困った子」でもある。仕事と妹の世話に追われるナニにとって、スティッチというさらなるトラブルメーカーの存在は受け入れ難い。

(左から)リロ、スティッチ、ナニ

そんなナニの悪戦苦闘ぶりや、スティッチのやんちゃなイタズラは、クスッと笑えるコメディでもあると同時に、姉妹の生活を揺るがす深刻な問題としても描かれている。その過程はオリジナル版に忠実でありつつも、少し描写が増えてもいる。実写だからこそ「現実の問題」としてリアルに見えるのも、リメイクの大きな意義だろう。

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