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さよなら名機「Heritage 3000」 PAエンジニアの巨匠たちが語るライブ音響の世界

2024.12.26

#MUSIC

3人が考える「良いサウンド」とは?

ー先ほど「ピラミッドで音を作ってる人は大体分かる」という発言がありましたが、皆さんが思う「良いサウンド」とはどういうものなのでしょう。

佐々木:うーん、どう言ったらいいのか。でも、みんな絶対自分の感覚を持っているよね。自分の中で確立しちゃってる。

DMX:なんだろうね、質感とかかな? 風呂上がりにタオルで体を拭くとき、「このタオルはいいけど、このタオルは嫌だ」とかあるじゃない。それと似ているのかも。

佐々木:人によって耳が違うし、音量にしても、心地良いのか、デカすぎるのか、小さすぎるのか感じ方が違う。音ってすごく抽象的なものじゃないですか。ただこれだけ長くやっていると、音量感とか、どのあたりが気持ち良いかとかが体に受ける「圧」で分かるんです。大体はそこに落とし込んでいく作業をしてる。自分もお客さんも気持ち良いと思えるのが一番いい。でも、「自分は気持ち良いけどお客さんはそうでもない」「演奏している人にとっては良いけど、自分はそうでもなかった」とか、いろいろパターンがある。長い間やっていると段々それらがイコールになってきて、「自分が気持ち良い=みんなも気持ち良い」になってくる。常にそれを目指しているんですよね。自分が良ければ、たぶん、みんなにとって良いはずだ。それを突き詰めていく作業。

DMX:俺の場合、「良いか悪いか分からないけれど、自分は良いと思って精一杯やった。以上」って感じかな。最近ではお客さんがPA席に来て、「すごく良い音だった」「気持ち良かった」と声をかけてくれることがけっこうあるの。あとはプロダクションの人が「良かった」って言えば、「それなら良かったです」ってことで。そんな感じ。昔は違ったけどね。「俺が最高、自分が一番」って思ってたよ(笑)。

佐々木:そうそう! エゴが音に丸出しになるんだよね(笑)。

内田:僕の場合は、例えば「美味しい」って、人間にとって普遍的な感覚だと思うんです。外国人が日本食を食べても、美味しいものは美味しいんじゃないかなと。そういう音を目指したいと思ってる。音にも、誰が聴いてもいいって思える音があるんじゃないかな。答えは分からないけれど、それを毎日探っているような状況。処方箋はないんですけどね。

DMX:マスターチャンネルに「味の素」のプラグインを挿す、みたいなのがあればいいんだけどね(笑)。

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