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両国国技館で開催『ギタージャンボリー』。弾き語りの祭典をレポート

2025.3.12

#MUSIC

根本要と奥田民生、対照的なステージの妙

時刻は間もなく18時になろうという頃。川崎鷹也が”ほろ酔いラブソング”でステージを締め、四方にピックを投げ飛ばす大サービスの余韻がまだ残る中、土俵入りしたのはスターダスト☆レビューの根本要だ。マイクに向かうなり、アドリブで歌いながら会場を盛り上げる。ひとたび声を発せば、爆笑が起きるところには、この日最年長の熟練の技を感じた。他のアーティストとは一線を画す話芸に魅了されてしまうのだが、日本のポップスのメインストリームにおいて、ど真ん中とまでは言わないが45年近く確実に存在し続けているスタレビの音楽性、中でも洗練されたシティポップサウンドやコーラスワークは、もう少し評価されてもいいはず。この日はもちろんギター一本だが”夢伝説”や”木蓮の涙”のロマンティックなメロディとハイトーンなボイスに会場全体がうっとりとしていた。

根本要

ハイライトは何と言っても”今夜だけきっと”。ラストの歌詞<ため息ひとつ手のひらに そっとこぼれて星になった>になぞらえて、どこからともなくスマートフォンのライトが掲げられる。それがどんどん伝播し、満点の星空が国技館に広がったのは、間違いなくこの日一番の名シーンだ。

最後はニューオーリーンズジャズをゴキゲンなポップソングに調理した初期の名曲”ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス”。たっぷり6曲を披露して土俵を降りた根本だったが、その後の休憩時間にも登場しMCのグローバーとラジオトークを展開するサービス精神ぶり。場をつかむ圧倒的な力をまざまざと見せつけられた。

圧倒という点では、根本とは対極の立ち振る舞いでその存在感を放っていたのが奥田民生だろう。土俵ステージに上がり、「奥村です」と協賛の奥村組もじって自己紹介をし、”息子”を歌い始めると、たちまち『ひとり股旅』の世界が広がる。

奥田民生

1曲終わるごとに会場から「民生~!」や、先日結成が発表された吉川晃司とのユニットOoochie Koochieを受けた「オーチ~!」という歓声があがるも、我関せず。半年前にはソロ30周年記念のライブを国技館で開催したこともあり、慣れた様子で粛々と”恋のかけら”“ぼくら””僕的地”“なんでもっと”と披露していく。こうして並べると彼の楽曲の中に垣間見える「照れの中に秘めた素直さや愛情」が描かれたものばかりだ。その後は、UNICORNの楽曲では珍しいラブソング”車も電話もないけれど”、そして”イージュー★ライダー”と続き、屈指の名歌詞がずらりと並ぶ大盤振る舞いのセットであった。

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