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家にあるデッキは1000枚以上。スケボーに引き寄せられて
Celeina:HAROSHIさんが今まで作られた作品の中で、心に残っているものはありますか?
HAROSHI:色々作ってきたのでたくさんあるんですが、人間の折れた足を、スケボーの折れた部分を集めて作ったことがあるんです。それが、僕の中ですごくターニングポイントになっています。
制作の過程で、そのスケボーが持っている記憶を手繰るというか。スケボーも、ベキベキに折れたり、階段を飛ばされたり、すごく痛い思いをしてきたわけじゃないですか。その記憶を僕が代弁して、形にしてあげるような感覚で。そういうスケボーと僕のコラボレーションがうまくいった時に、作品も格好良くなるものなんですよね。
タカノ:スケボーの側からも、HAROSHIさんに矢印が向いているような気がしますね。
HAROSHI:矢印はめちゃくちゃ向いていると思います。スケボーの板に色がついたこと自体、人間に捨てられないようにスケボーが進化していった結果じゃないか、という考え方もできるなと思っていて。
花が特定の色をつけると、特定の虫が来るようになって受粉できるようになるという説がありますよね。まさにその感じで、僕がその色に吸い寄せられてパタパタとスケボーの方に行って、それでスケボーのリサイクルを20年以上続けているという状態ですね。
Celeina:スケボーもそうですけれど、スタジオにお持ちいただいたソフビの作品も、頭がなくなってしまった状況でHAROSHIさんのところに「頭を作ってくれ」とやって来たわけじゃないですか。 吸い寄せているというか、HAROSHIさんが物たちからエネルギーを得て、作品に昇華している感じがありますよね。
HAROSHI:やっぱり、常に助けを求めてくるやつがいるんですよ。それを僕がうまくサポートすると、必然的にかっこ良くなっていくんですよね。独善的にならず、みんなとコラボレーションして何かを作っていくと、結果いい方向に行く、というのが今までの感じですかね。
タカノ:これからも、スケボーの板や色々なものが、きっとHAROSHIさんのもとに引き寄せられていくのかな、なんて想像します。
Celeina:この使い古されたスケボーのデッキは、お家に何枚くらいあるんでしょうか?
HAROSHI:数え切れるレベルの量ではないんですけれど、1000枚は普通にあると思います。
タカノ:やっぱり、集まってくるんですね。
HAROSHI:ただ、そこから選ばなきゃいけないんですよ。カーブも色のパターンも、材ごとに違いますから。例えばタイガーマスクを作るなら、黒と黄色を選んで、ちょうど目のとこに黒が来るようにするとか、上手くコンビネーションを作らないといけないんです。だからデッキは大量にあるんですけれど、1000枚あったとしても、その作品に使えるのは5枚ぐらいだったりするので、どのみちデッキはたくさん必要にはなってくるんです。