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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

画家の久喜ようたは、自身の「存在証明」ではなく誰かのお守りになるような作品を作る

2025.10.3

#ART

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

9月2日は、古着屋「吊り橋ピュン」のヒグチサトルさんからの紹介で、画家でアーティストの久喜ようたさんが登場。表現活動のきっかけとなった石垣島での出会いのほか、細マッキーでキューピー人形に細密画を施す作品についても伺いました。

石垣島で写真家・林弘康と出会い、表現活動をスタート

Celeina(MC):久喜ようたさんは、幼少期からご自身の性自認について世間との違和感を抱き、二元論にとらわれない絵を描かれているノンバイナリージェンダーの画家・アーティストです。まずは表現活動について伺いたいのですが、2020年に滞在された石垣島からスタートされたとお聞きしています。きっかけは何だったのでしょうか?

久喜:人生が大きく変わり、家と仕事を同時に失った時期がありまして、そのときに友人と石垣島へ旅行したんですが、そこで写真家の林弘康さんと出会ったんです。彼は、女性性と男性性を併せ持つ神話上の存在「アンドロギュノス」を題材にした作品を撮影したいと考えていて、自分と出会った瞬間に「適任のモデルが来た!」と言ってくださったのです。その出会いをきっかけに石垣島と行き来するようになり、そこから表現活動を始めようと思いました。

タカノ(MC):まさに奇跡的な出会いですね。しかも舞台が石垣島というのも印象的です。

久喜:本当にありがたいことです。

Celeina:絵を描かれるようになったのは、いつ頃からでしょうか?

久喜:ちょうどその時期、30歳を過ぎてから本格的に描き始めました。

Celeina:本格的に取り組まれたのが30歳を過ぎてからなのですね。

久喜:幼少期から絵を描いていて、それに救われながら生きてきたのですが、30歳を超えて「自分に残っているものは何だろう」と考えたときに、やはり絵があると思い、本格的に取り組み始めましたね。

偶然が重なって生まれたキューピー人形の細密画

Celeina:本日、スタジオに作品をお持ちいただいています。こちらは高さ50cmほどのキューピー人形ですね。非常に細かい細密画が全体に描かれています。頭のてっぺんから足の裏まで、360度びっしりと模様があります。

久喜:大きく分けると11のセクションになります。お腹、背中、腕の表裏、足、頭といった具合に分けています。

Celeina:この人形は黒1色で描かれていますが、どのような道具を使っているのですか?

久喜:ただの細マッキーで描いているだけです。誰でも今日から挑戦できますよ。

Celeina:驚きました。線を何重にも重ねて描かれているのですね。

タカノ:よく見ると、魚や植物、目のモチーフなども描かれていますね。腕にはレンコンや蓮の花のような模様もあります。

久喜:見る人の解釈は自由であってほしいので、そう感じてもらえるのは嬉しいです。

タカノ:描く際には、あらかじめ完成図を思い描いているのですか?

久喜:いえ、特に完成図はありません。描き進める中でどんどん広がっていきます。

Celeina:このキューピー人形は著作権フリーなんですよね。こちらをモチーフに選ばれた理由はありますか?

久喜:コロナ禍で外出ができなかったとき、家の床に30cmほどのキューピー人形が転がっていたんです。それを見て「描いてみよう」と思ったのが始まりです。それがプロトタイプとなり、その次に64cmのキューピーに描いたのが今日の作品です。

タカノ:出会いやきっかけなど、すべて偶然が重なっていますよね。

久喜:本当に多くの方のおかげです。

丸尾末広や水木しげる、中村明日美子に影響を受け、今の画風が生まれた

Celeina:この細密画の画風になった経緯を教えてください。

久喜:高校時代はガロ系の漫画に興味を持ち、丸尾末広先生や水木しげる先生の作品に触れました。また、中村明日美子先生の繊細な線にも魅了され、自分もやってみたいと思ったのが、今の画風につながっています。

Celeina:細マッキーでここまで描かれるとは本当に驚きです。Instagramなどでもぜひ見ていただきたいですね。2022年からはライブドローイングも始められているとのことですが、どのような場所で行なわれているのですか?

久喜:個展の会期中に公開制作をしたり、ご依頼をいただいて祝いの席で描いたりしています。ボディーペイントも行ない、その場でいただいたお題を即興で描くこともあります。性格的にせっかちなこともあり、「下書きはいらない、一発で描いた方が早い」と考えて取り組んでいます。

Celeina:この64cmのキューピー人形は、どのくらいの時間をかけて仕上げられたのですか?

久喜:最初の1体は1か月かかりましたが、こちらは5日ほどで完成しました。

タカノ:これほど細かいのに5日とは驚きです。

久喜:音楽を聴きながら没頭していると、気がつけば描き終わっているんです。

Celeina:どのような音楽を聴かれるのですか?

久喜:幅広く聴きます。昔のビジュアル系、テクノロック、アニソンなど、そのときの気分でシャッフル再生しています。

タカノ:音楽によってもインスピレーションが変わったりしそうですよね。

自分の作品が誰かのお守りになってほしい

Celeina:最後に伺いたいのですが、モデル、画家、そして絵本の制作など、様々な表現をされています。久喜さんにとって「表現すること」とはどのようなことでしょうか?

久喜:以前は「存在証明」や「自分を映す鏡」のようなものでした。今はむしろ、自分の外側に向かっていて、誰かのために表現しているという思いがあります。作品を見た誰かが楽しい気持ちになったり、新しいインスピレーションを得たり、お守りのように感じてもらえたら嬉しいと思っています。

タカノ:確かに、会話やつながりを生み出すきっかけになる作品ですね。

Celeina:さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで明日スタジオにお越しいただくお友達を紹介してもらっています。久喜さんが紹介してくれるのはどんな方でしょうか?

久喜:電撃ネットワーク加入を目指している、石垣島在住の池changです。話題を1つ投げかけると、360度に広げて返してくれる人で、カルチャーへの思いが爆発している方です。

Celeina:ありがとうございます。明日は池changさんに繋ぎます。 「FIST BUMP」今日お迎えしたのはアーティストの久喜ようたさんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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