グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
7月1日は、ブックディレクターの鈴木美波さんからの紹介で、建築家のアリソン理恵さんが登場。建築家としてのこれまでの仕事や、運営に携わる東長崎のコーヒーショップ「MIA MIA」にかける思いなどについて伺いました。
INDEX
カフェからストリートファニチャーまで、バラエティに富んだ設計を行う
Celeina(MC):理恵さんは、以前このコーナーにご出演いただいた、東長崎のコーヒーショップ「MIA MIA」オーナーのヴォーン・アリソンさんのパートナーでいらっしゃいます。理恵さんは建築家として活動しながら、ヴォーンさんと一緒に「MIA MIA」も運営されています。
理恵:その節はお世話になりました。
タカノ(MC):僕はこの前ヴォーンさんとお会いしたばかりなんです。もともとヴォーンさんは、Celeinaさんのお友達なんですよね?
Celeina:2019年の『フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)』でヴォーンさんと初めてお話しして、そこで「MIA MIA」というカフェをやっていると聞いたんです。実際にお店にお邪魔したんですが、本当に最高の空間で。その後、『GRAND MARQUEE』にお迎えしました。さて、理恵さんご自身についてもお伺いできればと思いますが、建築家としてキャリアをスタートされたんですか?
理恵:そうです。大学を卒業してからずっと建築の仕事をしていました。一時期メルボルンで働いていたことがあって、その時にヴォーンと出会ったんです。その後日本に帰ってきて、ずっと設計事務所をやっています。
Celeina:具体的にはどんな建築に携わられているんですか?
理恵:「MIA MIA」で働いていた松岡大介さんのハンバーガー屋さん「NICE TOUCH BURGER」が大三島にオープンしたんですが、その設計をやりました。あと、新井直之さんが営むイタリアンレストラン「Cadota」の設計もやりましたね。行政や福祉系の仕事もやりつつ、この間は「IKEBUKURO PUBLIC FURNITURE TRIAL」という企画で、池袋駅前の道沿いにストリートファニチャーを作ったりしました。本当に何でもやっています。


Celeina:すごく多岐にわたったお仕事をされているんですね。建築家さんの中で、理恵さんくらいバラエティに富んだ仕事をされている方っていらっしゃるんですか?
理恵:ちょっと珍しいかなと思います。色々やるとなると、毎回勉強し直さないといけなくて大変なので。でも、私は色々な仕事をするのが好きなので、わざと色々首を突っ込むようにしています。
タカノ:「MIA MIA」も理恵さんが設計されたんですか?
理恵:そうですね。おばあさんの家みたいなインテリアで、設計と言えるのかわかりませんが(笑)。
Celeina:オープンで温かい空間ですよね。窓や扉が多くて、開放的な印象があります。

理恵:「挨拶できる場所を作りたい」というのが1つのコンセプトとしてありましたね。バリスタが1人で忙しくても、外にいる人と目が合って挨拶できるように設計しました。
INDEX
「MIA MIA」を、誰かとコミュニケーションを取りたい時に来る場所にしたい
Celeina:そもそも「MIA MIA」のオープンの経緯は何だったんですか?
理恵:ヴォーンがずっと「コーヒー屋をやりたい」と言い続けていたんです。なので「MIA MIA」というカフェの名前は、オープンの8年前から決まっていました。ただ、建築事務所は忙しいので「無理だよ」と言い続けていて(笑)。ヴォーンはその間にも色々とコーヒーのキャリアを積んで、ようやく2020年に始めました。
タカノ:実際に「MIA MIA」の営業が始まってから、建築家としての仕事に何か影響はありましたか?
理恵:すごくありました。建築の仕事だと、プロジェクトが始まってから終わるまで短くても1年、長期的な案件だと5〜6年かかったりするので、長いコミュニケーションになるんですよ。でもコーヒー屋だと、毎日1杯のコーヒーを提供して「ありがとう」と言われるみたいな、軽いコミュニケーションなんです。そういったコミュニケーションを通して、自分の街を見る目や建築を見る目が変わってきました。
今、街の営繕と名前をつけた活動をしているんです。私たちは家に住んでいるだけじゃなくて街にも住んでいるんだから、部屋を好きなレイアウトに変えるみたいに、街もみんなで変えていこうという取り組みなんですが、そういった活動を始めたのは、やはり「MIA MIA」に立っていたからかなと思います。
タカノ:街に住んでいるという視点は、「MIA MIA」から得たんですね。
理恵:「MIA MIA」は「東京には1人になれる場所はたくさんあるけど、誰かと出会う時に行ける場所がない」という私とヴォーンのフラストレーションをきっかけに作った場所なんです。だから「誰かとコミュニケーションを取りたい時に来てください」とお客さんにも伝えています。そうやってコミュニケーションを取っていくと、自分と違う属性の人たちと話す機会もあって、色々なことに気づけますし、街についての視点もまさにそういうコミュニケーションから気づきを得ました。

タカノ:本当に、そのコンセプトは成功しているなと思います。僕もこの前お店に行った時にヴォーンさんと久々にお話しして、もう次の日にまた行きたくなったんですよ。 コーヒーが美味しいのはもちろん、「ヴォーンさんと話したいな」みたいな気持ちで寄りたくなるんですよね。行くと「おかえり」と言ってくれるような場所です。
理恵:ありがとうございます。嬉しいです。
Celeina:東長崎までぜひ足を運んでいただきたいですね。