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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

ライターの大北栄人は、身近にある疑問を面白がりながら掘り下げてWEB記事にしてきた

2025.7.8

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

5月26日は、番組からの推薦で、ライターの大北栄人さんが登場。過去に執筆したWEB記事や、自著『あたらしい散歩─専門家の目で東京を歩く』の話などについて伺いました。

インターネットで、ずっと何かを面白がってきた

Celeina(MC):今日お迎えしたのはライターの大北栄人さんです。よろしくお願いします。

大北:初めまして、大北栄人といいます。インターネットでライターをしたり、主宰している「明日のアー」でコントの舞台を作ったりしています。よろしくお願いします。

Celeina:今お話にもありましたけれども、『デイリーポータルZ』で2006年からWEBライターとして活動されているとのことですが、本を執筆するライターとちょっと違う文化なんですか?

大北:そうですね。インターネットには「面白記事」というちょっと変な文化がありまして。そもそもインターネットは、誰でも自由に書ける場所だったじゃないですか。新聞などのメディアとは対極で、素人が自分の好きなように書けるんですよね。その「素人が」というのは別に悪いことじゃなくて、何かやたら迫力があったり、リアリティがあるような良さがあったと思います。そこで、自分はインターネットで何をやってきたのかを考えていたんですが、僕はずっと何かを面白がってきたんだなと思っています。

タカノ(MC):物事を面白がる、ということを活動としてやられてきたんですね。

大北:WEBの「面白記事」は、その辺にあるものを無理やり面白がってきた、みたいな歴史だと思うんです。

Celeina:例えばどんな物事を面白がってきたんですか? 記事の内容になっちゃうと思うんですが。

大北:書いてきた記事のタイトルでいうと、『その辺の雑草をモヒートにして飲んでいく』とか。モヒートもハーブだから雑草みたいなものじゃないですか。

タカノ:最高ですね。「雑草とは何か」みたいな深い話に繋がっていきそうです。

大北:あと『なぜいちご大福はピリピリするのか?』とか。

Celeina:確かに! いちご大福のいちごってちょっとピリつきますよね。シュワシュワしていて微炭酸ぽいというか。

タカノ:え、全然わからない! 

大北:この話って、わかる人とわからない人で真っ二つに意見が分かれるんですよ。和菓子屋さんに聞いてみたら「ピリピリしたりしない。あなたが悪い」と散々言われたんです。でも、いやするんだけどなと思って調べたら、理科の先生が真実を教えてくれたんです。いちごの種には酵母があって、あんこの糖分と反応してアルコール発酵しているそうなんですよ。

タカノ:すごく面白いですね。

大北:面白いでしょ。この話で僕は『めざましテレビ』に出ましたから。

タカノ:誰しもが何となく知っていたり気づいたりしているけど、注目して深く掘り下げてこなかったことを、大北さんは注目して追求しているんですね。

「コーラって何味なの?」という素朴な疑問が思わぬ歴史を明らかにすることに

Celeina:他にも何か手応えを感じた記事はありましたか?

大北:自分で思いついたんですが、「コーラって何味なの?」という疑問から出発した記事は手応えがありました。コーラって、何十億人が飲んでいるじゃないですか。 記事を書いたのは2013年あたりなんですが、コーラは一体何味なのか当時は分からなかったんです。

タカノ:言われてみればそうですね。

大北:なんだかわからないものを何十億人が「うまいうまい」と言っているのってすごく変な状態だなと思って。この疑問を調べようとメーカーに聞いたら、「ちょっとそれはあんまり喋りたくないです」と言われてしまったんです。行き詰まったなと思っていたところ、静岡のサイダー会社の人がコーラは何味なのかを教えてくれました。

日本全国にはジュースを作っている会社がいっぱいあったんですが、1960〜1970年にコーラが海外からやってきた時に、ジュース業界のマーケットが侵食されてしまったそうなんです。日本のジュース会社が何とかコーラをやっつけようと、アルファベットの「C」を「狩る」という意味で名付けられた「Cハンター」というジュースを売り出したり、「ガラナ」を置いたり、色々対策をしたんですが、マーケティングの力でコテンパンにされてしまったそうです。小さい疑問から出発したのに、日本のジュース戦争にたどり着くという、壮大な話だったんですよ。

タカノ:面白いですね。

Celeina:自分の面白いを突きつめるって大事ですね。

タカノ:結局コーラは何味なんですか?

大北:メーカーの人から怒られるので、明言するのは避けますね。

Celeina:言えないんだ! 面白いを探求した人のみぞ知るということですね。

大北:ただ、記事を出した後にクラフトコーラブームがありましたね。どれも薬膳的な素材から作られていると思います。

タカノ:詳しくは大北さんの記事『「コーラってそもそも何味なの?」メーカーに聞いた』を読んでほしいですね。

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