グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
6月10日は、番組からの推薦で、ラジオDJ / プロデューサー / 雑誌編集者の堀内貴之さんが登場。2023年10月から3ヶ月に渡ってJ-WAVEで放送されていた『MID NITE ZINE 〜WANDERLUST〜』についてや、番組を書籍化したZINE『Sir Slow Bootleg: 狂った時代を楽しくサヴァイブするための13の夜伽話』などについて伺いました。
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J-WAVE番組『MID NITE ZINE 〜WANDERLUST〜』で語りを担当
タカノ(MC):『MID NITE ZINE 〜WANDERLUST〜』の放送中は、覆面ユニットの「SirSLow」として活動されていましたけれど、もうこの話はしても大丈夫なんでしょうか?
堀内:はい、問題ないです。
タカノ:僕、あの番組はすごく聞かせていただいていて、本当に大好きだったんですよ。
堀内:僕も放送中には毎日この3スタに来ていましたけれど、その時もシンヤさんは声をかけてくれて、ご挨拶させてもらいましたよね。すごく優しいものを感じましたし、シンヤさんが応援してくれていると思ってありがたかったです。
タカノ:あの番組、半端なかったですよね。Celeinaさんにも「これやばいよ」と伝えたくて、radikoのリンクをLINEで送ったこともありました。
堀内:シンヤさん、すごくありがたいリスナーですね。
タカノ:『MID NITE ZINE 〜WANDERLUST〜』は、1時間のミックスを流しながら、そのミックスに乗せて合間で堀内さんが語りを入れていく番組だったんですよね。音楽と言葉が完全に融合した1つの作品として成立している、没入型のコンテンツでした。
堀内:ありがとうございます。
タカノ:あの番組を通して、言葉って音楽なんだ、そして反対に音楽は言葉でもあるんだなと、僕は改めて気付かされました。
堀内:逆に言うと、ラジオには音楽と言葉の2個の要素しかないんですよね。ラジオの制作は、その2個をどう組み合わせていくかということだけなんです。定型的に、このコーナーがあってこんなことやってジングルを鳴らしてみたいなフォーマットもあれば、全く違うことも考えられる。言葉と音楽との足し算や掛け算、あるいは割り算とかを楽しくやれば、全く違うものができる可能性があるなと思って、そこをずっと探していたところもあったんです。
Celeina(MC):あの番組は、どういった構想を経て誕生したんですか?
堀内:最初は、仲のいい友達と「バンドでも組もうか」みたいな話をしていたんですよね。その後1人でいるときに、何かふっと曲のタイトルのイメージだけが13曲分降りてきて、「面白いことになったぞ」とそれを書き留めて。それをその2人の友達に、「バンドをやるんだったら、こんな感じの曲やらない?」と送っておいたんです。
そうしたらちょうどJ-WAVEさんから、「13週のラジオ番組をやりませんか」とオファーが来て。「13!?」と驚きまして(笑)。今、手元にちょうど13週分のネタがあるし、ここから発想して何かラジオ番組を作れないだろうかということをJ-WAVEの人たちに相談して、最終的に形になっていきました。
タカノ:偶然だったんですか! 本当に、奇跡のようなタイミングだったんですね。
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「SirSLow」の信頼関係が生む、音と言葉の化学反応
タカノ:どうやらこの『GRAND MARQUEE』に関わる人物が、「SirSLow」にも深く関わっていると伺いました。
堀内:前田さんです。
タカノ:月曜日のディレクターの前田さんが「SirSLow」で堀内さんの相方として、ミックスなどを担当されていたと。
堀内:僕らは1990年代ぐらいから東京のアンダーグラウンドシーンでずっと遊んでいるので、夜会う友達はみんな付き合いが長いんですよ。30年ぐらい一緒に夜遊びして社交し続けて、誰かの誕生日だったら遊びに行くとか、そんなふうにして生きてきた人たちがいっぱいいて。前田章太郎さんは、そういう友達の1人なんです。
彼自身もDJですし、共通の言語が多くて。感覚としても、僕が例えば「こんな感じで喋りたいな」と思ったらそういう音ネタを出してくれたり、ピッチもそれに合わせてくれたりするんです。だから言葉でのやり取りをそんなにしなくても、同じフィーリングで制作ができるんですよね。
タカノ:まず堀内さんの言葉があって、後から音をつけていたんですか? 逆かと思っていました。
堀内:『MID NITE ZINE 〜WANDERLUST〜』ではそうでしたが、普段ラジオで自由にやるという時には、まず音ありきのことが多いですね。最初に音のイメージをすり合わせて、「僕はこの辺の音が好きなんだけど、最近どんなのが好き?」みたいなところを共有して、「この辺のやついいよね」という共通認識を作っておくんです。そうしたら、例えば章太郎がDJやっていて、ここがいいなとなって、だんだん気持ちが上がってきて、言葉が出てくる。で、言葉を置き始める。
タカノ:化学反応的なことでしょうか。
堀内:そういう時もあります。ちょっと餅つきみたいな感じで、「そういうビートの感じで来るのね、じゃあこんなふうに行こうかな」とか、お互い操られる。ダークなトラックをかけられたら思ってもないダークな面が出てきたり、曲調が明るくなったらそれに引っ張られてポジティブな言葉に変わっていたり。
タカノ:実際の言葉自体も変わるんですね。僕たちも、後ろに流れるBGMによって話し方がスローダウンしたり、声のトーンが明るくなったりというかたちで影響を受けることはあります。
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ラジオの面白さは、リスナーと一緒にうねりを育てていくこと
Celeina:ラジオでは、その場でのセッションというか、瞬発力のようなところも問われるじゃないですか。タカノさんとも、「ラジオってちょっとスポーツっぽい部分もあるよね」という話をすることがあって。そういった瞬発力は、年々キャリアを重ねる中で身についてきたものなのでしょうか?
堀内:瞬発力というか、「オンエア始まります」とか言われたら、ちょっとだけ楽しいじゃない?
タカノ:テンションが上がりますね。
堀内:ちょっと上がるじゃないですか。そこが常にスタートの種としてありますよね。そして、いい曲とか面白い話で、だんだんその種に水をくれる人たちがいて。そうやって、気がつくとラジオがグルーヴしていくんだよね。そこがラジオのすごく面白いところで、リスナーさんたちも同じように、何かうねっていくんですよ。その反応はここまで入ってきて、一体感の中でその一瞬だけ時間を共有するじゃないですか。その興奮がやっぱり面白いというか。
タカノ:それは、前田章太郎さんも同じことを言っていましたね。『GRAND MARQUEE』が始まって、どういうふうにやっていけばいいかなど、僕が前田さんに色々と相談していた時期があったんですが、そのときにグルーヴの話は結構されていました。リスナーさんとのグルーヴもそうだし、ディレクターとのグルーヴもそうだし。
堀内:うねらない時って、例えば台本のページを1枚1枚片付けていくみたいな感じなんだけど、これって別に面白くないんだよね。ただ本当に面白いときは台本とか進行は関係ないし、のめり込んでいるじゃないですか。
タカノ:わかります。だって今も、完全に台本は無視してしまっていますもんね。
堀内:そうなんですよ。そういう渦に巻き込まれているときの方が、何を喋ったかそんなに覚えてなかったとしても、何か楽しかったなとか、何か心に残ったなとか、そういう印象が残るんじゃないかな。
タカノ:ありがとうございます。今、すごく大切な時間をいただいている。この時間は本当に宝物にしたいと思います。
堀内:タカノくんは誠実だよね。誠実な人間性が突然僕を襲ってくるよ(笑)。もちろん100%ありがたいし嬉しいし、僕もそれぐらい誠実な態度でシンヤさんに返そうと思う。それに、この番組にもその人間性は出ていますよね。