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映像監督の河合宏樹は、生の空気を留めることを使命にライブ映像を撮り続ける

2025.2.18

#MOVIE

『平家物語 諸行無常セッション』のライブ感は映画館でしか伝わらない

Celeina:河合さんの最新ワークスで、現在公開されているライブ映画『平家物語 諸行無常セッション』なのですが、こちらはどんな作品でしょうか?

河合:これはジャンルでいえばライブ映像なんです。今はSNSやサブスクで早送りされていたり、ショート映像で一部しか見せないというのが流行りじゃないですか。でも私はライブ映像の可能性を強く信じていて、作品を頭からお尻まで体感しなければ映像作品の良さが伝わらないと思っています。なので、ライブ映像を、わざわざ映画館の暗闇と時間軸にお客様を拘束して体感させるということを、あがきのようにやっていまして。

今まで撮ってきた中で、これは映画館でしか伝わらないと思ったのが、この『平家物語 諸行無常セッション』なんです。これは、今から8年前に、小説家の古川日出男さんと、ジャズサックスプレイヤーの坂田明さん、ZAZEN BOYSの向井秀徳さんが、『平家物語』という800年前から伝わる古典を題材に、一夜限りで行なった朗読セッションを記録したものです。これを映画館に持ち込み、爆音と光と闇の中で、この奇跡的な演奏に没入させることで「これがライブ映画だ!」と主張したい作品になっています。

タカノ:古川さん、坂田さん、向井さんってすごい組み合わせですね。

河合:圧がすごいですよね(笑)。

タカノ:朗読セッションというのはどのようにされたんですか?

河合:即興の部分は結構ありますが、ある程度、構成を決めてやってはいます。坂田明さんはもともと『平家物語』の朗読をされていて、古川さんは2016年に『平家物語』の現代語訳をされたので、このセッションでは、坂田さんが原文、古川さんが現代語訳を交互に読んで、向井さんが音を担当しました。

Celeina:すごい! これは8年前のイベントですが、公開が去年になったのは、どういった経緯があったのですか?

河合:この映像を映画にすることは当時まったく考えていなかったのですが、亡霊のように「外に出してくれ」と素材が呻いていたというか、ずっとどこかで世に出したいとは思っていたんですよ。そうしたら、2018年に『けいおん!』などの素晴らしいアニメの映画を監督されている山田尚子監督によって、『平家物語』がアニメ化されたんです。昔から人気の古典ではありますが、ブームがきて『平家物語』がここ数年で再ブレイクしたんです。そのブームに乗っかって、「こういう『平家物語』の表現の仕方があるんだよ」ということを知ってもらうためにも、古川さん、坂田さん、向井さんに「映画館で公開させてくれませんか?」と言ったところ、「やりましょう」と言ってくださり、成熟期間を経て公開に至りました。

タカノ:この映画はどちらで観られるのでしょうか?

河合:去年の9月に新宿のK’s cinemaさんでイベント付きで1週間上映をしていました。今回は僕が完全自主配給でやっていまして、僕が直接、映画館さんに声をかけさせていただいているんですが、2月22日(土)から名古屋シネマスコーレさんで1週間、3月には東北で調整中です。そして4月18日(金)から1週間、長野県の上田映劇さんで上映されます。そのほか、夏まで各地での上映が決まっているので、ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。

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