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ライブの生の空気を留めていくことがライフワーク
タカノ:そして、河合さんは音楽家やアーティストとも繋がりがあるそうですね。
河合:もともと、音楽やライブ映像が大好きなんです。東日本大震災が起きた時に、被災地のことを考えて動いていらっしゃるミュージシャンの方が多くて、その中でも、特に七尾旅人さんからは、私が自分で「師匠」と言ってしまうぐらいの影響を受けました。旅人さんともそこから交流が始まり、映像もずっと撮らせていただいて、12年ぐらいの付き合いになります。彼をきっかけに、飴屋法水さんや齋藤陽道さん、青葉市子さんや蓮沼執太さんなど、色々な表現者の方と出会いました。被写体が魅力的な方ばかりなので、どんどんカメラを回したくなっちゃって、最初は映画をやりたかったのに、どんどん巻き込まれていきましたね。ご縁で出会いが生まれて、勝手にことが動いていった、というような感じですね。
タカノ:河合さんの作品のスタイルは、ライブ映像やドキュメンタリーが中心だと思いますが、こういう作品を作りたい、というよりは、その手前にある「撮りたい」という根源的な欲求が先に来ていることが素敵だと思いました。
Celeina(MC):「撮りたい」と思わせる衝動は、被写体の魅力みたいなところから生まれているのでしょうか?
河合:僕が撮っている方たちは、ステージでの表現の一回性や生でしか感じ取れない空気が素晴らしくて、どうしても映像には映りきらないんですよ。逆に収められちゃったら「やりきっちゃった」と感じて、ゆらゆら帝国みたいに解散しちゃうかもしれないです(笑)。
タカノ:「完成してしまった」みたいな理由で。
河合:でも、なかなか完成しない。すべてを残せないと毎回思っているから、同じ被写体をずっと追いかけられるところもあるというか。そういうことを、まだ悩みながらやっている感じではあるんですが、彼らがやっていることを留めていくということは、使命のようにやっています。
タカノ:ライフワークという言葉が当てはまるかどうか分からないですけども、河合さんの人生をかけての活動ですよね。
河合:はい、まさしくライフワークです。