グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
1月20日は、番組からの推薦で、編集者で「me and you」の野村由芽さんが登場。WEBメディアでもありプロジェクトでもある「me and you」を立ち上げた経緯のほか、日記を公募する企画「同じ日の日記」などについても伺いました。
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個人的な心の内側と社会を繋げる、橋渡しのようなメディア
Celeina(MC):「me and you」ですが、2021年に同じ編集者でもある竹中万季さんと一緒に立ち上げた会社であり、そしてプロジェクトでもあるという感じでしょうか。
野村:はい。
Celeina:「me and you」のWEBサイトを拝見するとこんな言葉が書かれています。「ここにいるわたしとあなたから、遠くのわたしとあなたへ。一人ひとりの小さな声に耳を澄ませ、自分の速度を大切にしながら、この世界で生きることを編み直すためのメディアです」。
タカノ(MC):素敵な言葉ですね。
野村:ありがとうございます。
Celeina:こういった言葉も綴られていますが、改めてどんな活動をしているのか教えていただけますか?
野村:元々私たちは編集者で、2017年に自分らしく生きる女性を祝福する、ライフ&カルチャーコミュニティ「She is」というメディアを竹中さんと2人で立ち上げたんです。そのときは、「She is」というメディアの名前に「一人ひとりの彼女が存在する」という意味合いを含めていました。様々な生き方をしているさまざまな女性の声に耳を澄ませて、メディアやコミュニティといった場を作っていきたいと思っていたんです。2021年の3月で「She is」の更新が止まってしまったので、そこから2人で独立することに決めました。「me and you」は会社でもあり、メディアでもあり、ブランドとしてもやっています。
Celeina:なるほど。「me and you」のWEBサイトを拝見させていただいたのですが、まずはデザインがとても優しくて可愛くて、自分がティーンエイジャーだった頃の何かが掴まれる感じがあって、とても素敵なんです。中身を読ませていただくと、それぞれの女性のストーリーが見えてくるとともに、社会的な問題とか、目を向けなきゃいけないニュースとか、そういったところにも目を向けていて、自分と世界を繋げてくれる橋渡しをしてくれるような感覚になりました。
野村:すごく読み取ってくださっていて、本当に嬉しいです。ありがとうございます。それぞれの声、と簡単に言っても、なかなか自分の心の声を思い出すことは難しいなと思うことがあるんです。先程、「ティーンエイジャーだった頃の」とおっしゃって頂きましたが、自分の心の中の柔らかい部分や、本当に好きなものを思い出したり、気付き直せたりするようなことをしたいなと思っています。デザインとして可愛いというところもありつつ、個人的なことと社会は地続きだと思うので、そこまで両方繋げていける、橋渡しとなるような場所が作れたらいいな、と願いながら日々やっています。
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いろんな場所で暮らす人々の日記を集めて公開する「同じ日の日記」
Celeina:まさにそれが体現されているなと思いました。WEBメディア「me and you little magazine」で更新されている、「どこかで暮らす誰かの同じ日の日記。わたしやあなたの日々の記録と記憶。」というコンテンツが気になったのですが、これは「日記」という言葉がキーワードになって企画されているんですか?
野村:これは「同じ日の日記」というコーナーで、いろんな場所で暮らす人の日記を集めています。例えば、1月1日とか2月22日とか、日にちを決めて、複数人の日記を集めるという企画です。
タカノ:同じ日に違う人たちがどういう1日を過ごしているのかが分かるんですね。
野村:おっしゃる通りです。
タカノ:どうやって集められているんですか?
野村:こちらから依頼するもののほかに、公募でも集めています。自分たちがすでに繋がっている方はもちろんなんですが、まだ出会えていないけれど、様々な関心がすごく重なる方がきっと世界にたくさんいると信じて、Googleドキュメントで公募しています。
タカノ:僕もやりたくなりました。
野村:ぜひ。日記は書かれているんですか?
タカノ:あまり書いてはいないんですけど、手帳に簡単な記録を書いたりはしています。日記っぽい日記を書いていないので、興味が湧いてきました。
野村:普段書いてないけれど、これを機会に書いてみました、という方に応募いただくこともあります。
タカノ:Celeinaさんは日記を書いている派ですよね。
Celeina:中学生ぐらいから書いていますね。ここに載っている皆さんの日記なんですけど、例えばこの前の「FIST BUMP」でもお迎えしました、「33club」 のMICOさんとか、今注目のエッセイストの小原晩さんとか、文学指数の高い方ばかりなんですよ。なので、皆さんの日記をたくさん読ませていただいて、修行した後に応募させていただこうかなと密かに思っています。日記に関する本も出されているんですよね。
野村:この「同じ日の日記」とは少し異なるんですが、私と竹中万季で日記を書いて、それぞれの日記にお返事をする「日記文通」という取り組みもニュースレターで配信しているんです。その「日記文通」の記録を1冊の本にしたのが、『me and youの日記文通』です。2024年の12月に2冊目を出版しました。
Celeina:もう2冊目を出されているんですね!
タカノ:今手元にあるのですが、タイポグラフィっぽい感じのデザインで素敵ですよね。
Celeina:2段になっている感じがいいですね。
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日記に書かれる速度を落とした言葉から、豊かさやコミュニケーションが広がって欲しい
タカノ:「同じ日の日記」は、同じ日にこの人はこういうことをやっていて、でも違う人はこういう1日を過ごして、という事に思いを馳せることによって、自分の中で、群像劇のような映像コンテンツを見ているような感覚になりそうですね。
Celeina:そして誰かの1日を知ることによって、間違いなく世界は広がるし、他人の気持ちにもっと寄り添おうという、自分の優しさの部分が育っていく感じがしますね。
野村:本当に嬉しいです。どうしても口頭での言葉のコミュニケーションだと、速いキャッチボールをしたり、分かりやすい言葉で伝えなくちゃ、と思ってしまうところがある気がするんです。それは全く間違いではないと思うのですが、そういった速度や分かりやすさからはどうしてもこぼれ落ちてしまうような、本当はこう思っていたかもしれないなとか、時間が経ったらああだったかもしれないことというのが、実はたくさん降り積もっているんじゃないかなと思っているんです。
日記という、少し立ち止まって自分を振り返る時間を経て書かれた言葉から、また新しく始まる関係や、この人はこういうことを考えていたんだ、という豊かさやコミュニケーションが広がって欲しいという思いがあります。日記って普通は個人的なもので、それを共有するというのは矛盾もあるのですが、ちょっと歩く速度を落とした言葉が肩の力を楽にしてくれるということがあるのではないかな、というのは自分たちも実感しながらやっています。
タカノ:心の豊かさって、コスパとは逆のところにありますよね。まさに日記もそうですよね。
野村:むしろ、1つのことに対して時間をかけて考えるからコスパは良くないかもしれないのですが、その人だけの世界みたいなものが広がっていくことは自分へのケアにもなると思います。
Celeina:長期的に見て価値がある、ということですよね。ご紹介しました『me and you の日記文通 message in a bottle vol.2』は「me and you」のホームページから購入可能ですので、ぜひチェックしてもらえればと思います。そして今月末から『アイスクリームが溶けても』というタイトルでポッドキャストも配信予定ということで、こちらも楽しみにしております。
野村:ありがとうございます。ビジュアルを小林エリカさんに描いていただいて、すごく可愛く仕上がっています。
Celeina:気になりますね。さて「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということでお友達を紹介してもらっていますが、どんな方を紹介してくれますか?
野村:映像監督の河合宏樹さんをご紹介したいと思います。
Celeina:ありがとうございます。「FIST BUMP」、本日は「me and you」の野村由芽さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann