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渋谷の歴史や土地柄から着想を得た『明日のハロウィン都市』
タカノ(MC):なるほど。ご説明ありがとうございます。ちなみに、『明日のハロウィン都市』という作品が色々な賞を取られているんですよね。
菅野:そうですね。 去年作った作品なんですが、渋谷のハロウィンをテーマにした作品なんです。あり得るかもしれないもう1つの渋谷の形をゲームの世界で構築して、それを映像にしました。
タカノ:今実際に見ています。
Celeina:こちらの作品は、2024年に第29回学生CGコンテストでNEW CHITOSE GENIUS賞、学生対象アワードのCAF賞2023で最優秀賞を受賞されています。

タカノ:「おそらく渋谷だったであろう」都市が映像内に映っていて、ゲームをプレイしているみたいな感覚になるんですけれども、水浸しになっているんですかね? ちょっとディストピア感のある悪夢の中をさまよっているゲームのようですね。
Celeina:フューチャー感も感じられますよね。
タカノ:これはどういうことなんでしょうか?
菅野:私自身が、渋谷という街に違和感を感じていて。というのも、渋谷は、ごちゃごちゃしたカルチャーがあるけれども、今もなお再開発でどんどんオーガナイズされていて、そういった意味で水と油みたいな街だなと思っているんです。そんな中で、渋谷で毎年盛り上がるハロウィンって、死者のお祭り、つまりゴーストのお祭りじゃないですか。
Celeina:歴史的にはそうですね。
菅野:でも今の渋谷というのは、そういったゴーストみたいな存在が住めない場所に変わっているなと思っています。渋谷の歴史を紐解いていくと、もともとは沼地だったのが、植物とかがどんどん排除されて、今のような住みやすい綺麗な街になっているんです。なので、ゲームの中ではもう1回古代っぽい雰囲気に戻して、街を水浸しにしてみたり、ゴーストみたいなものたちがウヨウヨ自由に歩き回る映像を作りました。植物ももうボーボーに生えちゃって、コントロールできないような世界になっています。
タカノさんが「ディストピアみたいだ」とおっしゃられたと思うんですけど、ディストピアっぽくもありつつ、ごちゃごちゃとしていて楽しげな雰囲気にもしています。丸山翔哉さんに音楽を作っていただいたんですが、「未来の渋谷ハロウィンで流れている音楽」をイメージして、明るい音楽をつけてもらいました。
Celeina:なるほど。つまり渋谷の歴史や、土地柄を知るところから作品を作る際の着想を得たのでしょうか。
菅野:そうですね。