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点で終わらず、次の世代に繋いでいく林業文化に感動
Celeina:伝統文化にフォーカスするようになったきっかけはあったんですか?
宍戸:取材で色々なエリアに行くんですけれども、その中で地産地消のものに触れる機会があったんです。特に奈良県の仕事で、奈良で有名な吉野杉や吉野檜といった日本の名木に触れる機会がありました。その時に、こういったものをどういう風に新しく人に伝えられるのかを考えるようになって、地域の仕事に携わったり、地方のまだあまり知られていないものをトピックスとして発信していきたいと思うようになりました。
タカノ:吉野杉や吉野檜というのは、どういった木なんですか?
宍戸:かなり年輪が細かい木ですね。年輪が美しく弧を描いていて、すごく人の温かみを感じるような木材です。ブランドの国産材としても知られていると思います。
タカノ:100年前とか200年前とかに植えられた木なんですよね。
宍戸:何よりもびっくりしたのが、植林で作られた美しい山は、苗を植えて、間引きして、という作業を何十回も繰り返して、何百年もかけて作られるということです。樹齢100年くらいでも若い木と言われてしまうくらい、長い年月がかかるんですよ。樹齢300年くらいの木を切り出してやっとご神木になったりするんです。なので、自分が生きている間に植えた苗は、数百年後に切り出されるのだと思うと、その仕事は見届けられないなと思っていたんですよ。
だけど、大事なのは見届けるとかではないんだと分かったんです。苗を植えて間引きするという作業を繰り返して、できた木を切って製材して世に出すというという林業文化自体が1500年ぐらいからずっと続いている。それを次の世代にずっと繋いでいる人たちがいるというのを見たら、本当に点で終わっていることじゃないんだと思って、すごく感動しました。
タカノ:300年後のことを考えてやってくれていたことが、今に繋がっているんですね。