グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
9月26日は、小説家の金子玲介さんの紹介で、小説家の高瀬隼子さんが登場。芥川賞受賞作『おいしいごはんが食べられますように』の執筆秘話や、デビューが決まるまでの10年間、小説を書き続けることができたモチベーションについて伺いました。
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「物語を作る人になりたい」。小6から小説を書きコンクールに応募
Celeina(MC):高瀬さんは1988年、愛媛県生まれ。2019年に『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビューを果たされています。その後、2022 年『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞されました。
タカノ(MC):高瀬さんが小説家を目指したきっかけを教えてください。
高瀬:小学校時代から本を読むことがとにかく好きで、本屋さんに通って背表紙を眺めて帰る、みたいな毎日でした。明確なきっかけは覚えていないんですが、とにかく物語を作る人になりたいと幼い頃から思っていましたね。
タカノ:実際に執筆を始めたのはいつ頃ですか?
高瀬:ノートに書き始めたのが9、10歳くらいで、ペンネームである高瀬を使い始めたのが小学校6年生の時でした。「高瀬、格好良い」と思ってペンネームを付けて、小中学生向けのコンクールに応募し始めたんです。
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10年を費やして掴み取ったデビュー
タカノ:そしてすばる文学賞でデビューを果たされますが、それまで10年ほど会社員もされていたとお伺いしています。
高瀬:そうですね。31歳でデビューするまでは、会社員をしつつ夜に執筆作業を進める生活をしていました。
Celeina:忙しい生活ですよね。
高瀬:やはり眠たかったです。朝は全然起きられなかったので、夜に書いていました。
タカノ:そういった生活を10年。
高瀬:小中学生向けのコンクールは10代の時から応募していて、デビューへ繋がる新人賞に応募し始めたのが20歳くらいでした。毎年どこかの賞に出しては落選する。それを繰り返した10年間でしたね。
タカノ:モチベーションはどのように維持していたんですか?
高瀬:応募してから結果が出るまで2、3カ月期間があることもあり、落選したことを知っても「そっか、出したな」という感覚で。大ダメージを受けるわけではなかったんですよ。空いた期間でほかの面白い小説を読んで、「やっぱり本が好きだな」と感じていたので、続けてこられたと思います。
タカノ:デビューが決まった際は、お電話が来るんですよね?
高瀬:その日は会社を休んで待機していたんですが、緊張でお腹も痛かったです。電話が来た時は「嘘でしょ」と思いましたし、その現実感の無さが今でも続いている気がします。
タカノ:僕も昨年から新人賞を目指しているので、高瀬さんの一言一言が身に沁みます。高瀬さんはどのように小説を執筆されるのでしょう。
高瀬:長いプロットは用意していなくて、例えば「家族がお風呂に入らなくなったら」「歩きスマホを避けなかったらどうなるのか」のように、1、2行の疑問を立てて書き始めています。その疑問を後から直していくので、結末は決まっていない状態でスタートしていますね。