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プロデューサーは登場人物と仲良くなりすぎてはいけない
高根:さらに僕はプロデューサーなので、映画を興行として成立させなければいけないわけなんです。ドキュメンタリー映画自体はそんなに制作コストはかからないんですけど、とはいえお客さんが入ってくれないと、ビジネスとしては成立しないので、かなり暗中模索の中で始まりましたね。
タカノ:プロデューサーとなると、お金のことも含めて視座を高く持たなければいけないし、大変ですよね。
高根:そんなに偉そうなことは言えないんですけど、やっぱり監督とはちょっと違う立場だと思っていて。やってきて感じるのは、プロデューサーは編集者的な視点が必要だなということです。素材やテーマがあった上で、それがどうやったら面白くなるか、どうやったら伝わるか、どうやったら自分の見たいものがちゃんとお客さんに届けられるかという視点が必要とされます。さらに、それをビジネス化するということも必要だと思います。あと監督との違いとして結構重要なのは、ドキュメンタリー映画に関しては登場人物の方と仲良くなりすぎてもいけないなとすごく感じているんですよ。
Celeina:というと?
高根:監督もそうだと思うんですけど、例えば『WILL』で言うと、東出くんにとって出したくない映像とか、本人が「ここカットして欲しいな」と思うような部分もドキュメンタリーだとたくさん撮れちゃうんですよね。ただ、作品として必要だったらそれはやっぱり削りたくないので、残させてほしいと話をする時もあります。でも、登場人物と完全に友達関係になってしまった時に、監督もプロデューサーもどこまで作品の面白さを追求して作れるのか、という点で難しくなってくると思います。だから、例えば自分の友達とか家族のドキュメンタリー作品を作れるかと聞かれたら僕は無理ですね。
タカノ:プロデューサーの仕事はすごくコミュニケーションが大事になってくるんですね。
Celeina:しかも、そのコミュニケーション中でもなかなか辛い決断を下して、それを行使しなきゃいけない立場だから大変ですね。
高根:だから撮影中に、東出くんから「高根さんはちょっと心の壁が高い」みたいなこと言われたことがありました。僕はそんなつもりはなかったんだけど、やっぱりそう映ると思うんですよね。なので、クランクアップして作品が完成して、初めて仲良くなれた感覚が自分にもありました。でもそういう形がいいんじゃないのかなと思っています。
Celeina:そんな高根さんがプロデューサーとして携わられた作品『WILL』は現在各種映像配信サイトで配信中ですので、ぜひチェックしていただきたいと思います。さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?
高根:株式会社ASOBiZMの木村遊太さんです。
Celeina:どんな方なんですか?
高根:おふたりもご存知だと思うんですけれど、最高のロックンロールバンドのHave a Nice Day!というバンドのマネジメントもしながら、誰もが知る大御所のミュージシャンたちと真剣に遊べる人です。かなり稀有な存在で、面白いことをプロデュースしていらっしゃる方ですね。
Celeina:これは明日が楽しみですね。明日は株式会社ASOBiZMの木村遊太さんに繋ぎます。「FIST BUMP」、今日は映画プロデューサーの高根順次さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann