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「未来魔女会議」も開催。現代魔女の円香が研究と実践を通して紹介する現代の魔女文化

2024.10.23

#BOOK

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グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

7月1日は、番組からの推薦で、「現代魔女」について研究し、自らも現代魔女として活動している、円香さんが登場。現代魔女としての活動や、5月に刊行したZINE『サイボーグ魔女宣言』の話などについて伺いました。

現代魔女は、アメリカでは政治的な運動と結びついたムーブメントに

タカノ(MC):まず、現代魔女というキーワードが気になります。「魔女」と言えば、ジブリに登場するファンタジーな世界から、ホラー作品にも出てくるような怖い魔女まで、色々なイメージがありますが、円香さんが研究されている「現代魔女」とは一体何なのでしょうか?

円香:現代魔女というのは、大きいくくりだと、新異教主義と呼ばれる運動の中にあるものなんです。欧米には、簡単に言うと、キリスト教以前の宗教を復興させようとするペイガンと呼ばれる人たちがたくさんいるんですが、その人たちはアニミズムとか、自然崇拝、多神教などを実践しています。夏至の日に、ストーンヘンジにいっぱいヒッピーみたいな人が集まっている写真って見たことないですか?

タカノ:見たことあるかもしれません!

円香:まさにあの人たちですね。そういう異教主義(ペイガニズム)と呼ばれるものがあるんですけど、1940年頃に自分たちは魔女だと言い始めた人たちがいたんです。その当時は魔術は法律で禁止されていて、誰かが魔術をやったとかは言ってはいけなかったんですが、1951年にアンチ・ウイッチクラフト法という法律がイギリスで無くなったことをきっかけに、「私は魔女です」「私は魔術をやっています」と言う人たちが出てきちゃったんですね。もちろん当時は色々バッシングもあったんですけど、その運動がどんどん広がっていって、アメリカに飛び火していくんです。

そうすると、そこで想像しなかったような動きがあって、フェミニズムとかエコロジー運動とか、あとゲイリブ(ゲイ解放運動)や多くのクィアの人たちを巻き込んでいったんです。さらに、反核運動とか大きい政治的な運動みたいなものとも絡み合いながら、現代魔女は今すごく面白いムーブメントとして広がっています。私はアメリカにいた時にとても面白いと思って、興味を持ちました。でも研究するって言っても実践しないと分からないので、実際に魔女としてもやっているという感じですね。

Celeina(MC):アメリカにいらっしゃったということですが、何年くらい前ですか?

円香:私が住んでいたのは、コロナ禍に入るちょっと前あたりの2018年から2019年です。アメリカの西海岸のロサンゼルスとか、ハリウッドとか、そういうところではカウンターカルチャーがとても盛んなんですよ。みんな瞑想が好きだったり、魔女のお店というのがあって、儀式をやったりしているんです。

Celeina:魔女のお店ってどんなものが売られているんですか?

円香:ろうそくとかローブとか、あとハーブに本にタロットから太鼓まで……。何でも売っていますね。

東京では現代魔女についての情報を伝える「未来魔女会議」を開催

Celeina:アメリカに滞在した時に現代魔女というものに触れて研究するようになったということですけれども、円香さんは現在、現代魔女としてどんな活動をされているんですか?

円香:今でもアメリカやオーストラリアの魔女の人たちとは交流していて、各地でどういうことが行われているかを調査したりもしています。東京だと、儀式を開催したりとか、未来魔女会議を開いたりしています。未来魔女会議というのは、現代魔女とか魔女についての最新の情報を私が伝えたり、交流する場として2019年からやっているものです。

Celeina:未来魔女会議には何名くらい参加されるんでしょうか?

円香:イベントをやる時は70人とか80人とかの時もありますし、オンライン開催で30人くらいの時もあります。色々な規模でやっていますね。

Celeina:面白いですね。

タカノ:現代魔女の方々は、クリスタルボウルを使って瞑想されると伺ったんですが、これは儀式のことでしょうか?

円香:儀式の中で、こういった楽器を使うこともあります。クリスタルボウルは私が好きなので使っているだけですが、このクリスタルボウルは面白い楽器で、ものすごく強い倍音が鳴るんです。強い倍音を聞いていると、目をつぶった時に激しい浮遊感が訪れて、ビジョンというか夢みたいなものがたくさん見えてきたりする不思議な楽器なんです。

Celeina:クリスタルボウルはどんな形状なんでしょう?

円香:薄くてすぐに割れてしまいそうな器みたいなものです。

Celeina:それはどうやって音を鳴らすんでしょうか。

円香:棒をぐるぐる回してコーンと叩くと、強い倍音が出るんですよ。ヨガをやっている人がたまに使ったりもしているし、仏壇に置いてあるような仏具よりも遥かに強い倍音が出るんです。

Celeina:なるほど。ちょっと体験してみたいですね。

逆卷しとねさんとの共著『サイボーグ魔女宣言』を刊行

タカノ:そんな円香さんですけれども、5月に逆卷しとねさんとの共著『サイボーグ魔女宣言』というZINEも刊行されています。こちら、文学フリマに出店して販売されていたんですよね。僕も出店していたんです。

円香:そうなんですね。すごく面白いイベントですよね。

タカノ:出店自体は初めてですか?

円香:初めてでした。そもそも物を書いて本を作って、自分で売るみたいなことを自分がやると思っていなくて、何も分からないまま参加したんですよね。

Celeina:実際に参加してみてどうでしたか?

円香:すごい熱気でした。こんなに盛り上がっているものだと知らなくて、人も多くてちょっと驚きました。

Celeina:当日、本は完売されたということですけれども、どういった方が買われて行かれたんですか?

円香:分からないんですよね。そんなに売れると思っていなくて。でも皆さんカタログをよく読まれているのか、ネットで見て知っていただいたのか分からないんですけど、友達のおつかいとかでもいっぱい来てくださって、2冊買って行かれる方もいらっしゃいました。

タカノ:今手元にありますけど、装丁もかっこいいし、『サイボーグ魔女宣言』というタイトルにすごくパワーがあるじゃないですか。

Celeina:カテゴリーはSFなんですね。

円香:ちょっと面白くSFにしてみました。内容としてはフェミニズムとか欧米の反核運動を追いかけたものではあるんですが、魔女というもののイメージを少しユニークに描いています。もともと魔女というのは、19世紀のロマン主義という芸術運動の中で自然と結び付けられて考えられたものなんです。例えば、自然と調和して生きている賢い女性みたいなイメージがありますけど、これは19世紀に作られたイメージなんです。それまでは完全に害悪魔術を行う女性であると考えられていたり、妖怪みたいな恐ろしいものとずっと考えられていました。

一転、19世紀に人生をめちゃくちゃにしてくれる運命の女性という存在にロマンが高まって、魔女はそんなファムファタールのような存在として愛されるようになったんです。魔女のイメージにはそういう歴史があるんですけど、私たちはこの本の中で、魔女をもっと不純で不自然なものとして書いています。あと、魔女は技術とも多く関わってきているので、技術との繋がりとか、実践についてたくさん書いています。難しそうな本ですけど、読んでいくと瞑想とか実践的なことも収録されていて面白い本です。

Celeina:現代魔女入門としておすすめできますか?

円香:入門としてもおすすめできると思います。

タカノ:こちらはオンラインでも買えるんでしょうか。

円香:オンラインでも買えます。実店舗だと、池袋のジュンク堂書店とか、下北沢の気流舎、新代田のエトセトラブックスにも置いてもらっています。あと、私や逆卷しとねさんに会った時に、直接手渡しで売ることができます。

Celeina:直接購入できるのが1番嬉しいですね。

円香:それがZINEの面白さだと思っています。

Celeina:円香さんのSNSをぜひチェックして、現代魔女について学んでいきたいと思います。さて「FIST BUMP」、グータッチでつなぐ友達の輪ということでお友達を紹介してもらっているんですが、円香さんがご紹介して下さるのはどんな方でしょうか?

円香:『サイボーグ魔女宣言』の表紙や、全体のデザインを担当してくれた広岡ジョーキさんを呼びたいと思います。サウナの本とか、リトルプレスの本をたくさん作られていて、韓国語の翻訳もされています。彼は色んなことができすぎて面白い人なので、何を話してくれるか楽しみですね。

Celeina:ありがとうございます。明日は、広岡ジョーキさんに繋ぎます。「FIST BUMP」、本日お迎えしたのは「現代魔女」の円香さんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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