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漫画家の川勝徳重は、昭和の漫画にある独特の暗さに魅力を感じる

2024.8.29

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

6月10日は、漫画家で昭和漫画オタクの川勝徳重さんが登場。昭和漫画と出会ったきっかけや魅力、現在連載中の『痩我慢の説』について伺いました。

雑誌『ガロ』を機に昭和漫画にハマった

タカノ(MC):川勝さんは平成生まれですが、昭和漫画がお好きだとお聞きしています。

川勝:漫画全般が好きなんですけど、昭和のものを好んで読んでいますね。

タカノ:具体的に好きな年代はあるのでしょうか。

川勝:1930年代の漫画が好きです。

Celeina(MC):1930年代の漫画のイメージが湧かないのですが、どういったものが多いんですか?

川勝:有名な漫画だと『のらくろ』があります。

タカノ:昭和漫画との出会いのきっかけは何だったんでしょう。

川勝:今日も持ってきたんですが、『ガロ』という雑誌を古本市で買い始めて。中学生でも買えるような値段だったので集め始めたのがきっかけでした。

Celeina:川勝さんが中学生の頃、『ガロ』と出会った?

川勝:そうですね。当時は名前しか知らなかったんですが、集め始めたら面白くてずっと読んできました。

Celeina:『ガロ』は何冊くらいお持ちなんですか。

川勝:正確な数は分からないけど、300冊はあるんじゃないかな。

Celeina:すごい! ファンの中で人気の号やプレミアが付いている巻もあるのでしょうか。

川勝:あまりないです。おそらく発刊された当初から皆が「これは特別な雑誌だ」と思ったので、沢山残っているんですよ。創刊号は1、2万円しますが、他は安いですね。

タカノ:川勝さんがお持ちのお宝本にはどのようなものがありますか?

川勝:大城のぼるの『火星探険』は高いんじゃないかな。でも、分かりやすいレア本は大体復刻版が刊行されてしまうので、読んでいる人が少ないような漫画を読みたいです。

Celeina:プレミアが付いている皆が求めているものではなく、掘り出し物を見つけた時が嬉しいと。

川勝:昔の漫画だから全部値段も高いんですけど、見たことない漫画が欲しいですね。

昭和漫画の魅力は独特の暗さ

Celeina:川勝さんは数々の昭和漫画に触れていらっしゃいますが、現代の漫画作品にはない昭和漫画の魅力を教えてください。

川勝:アメリカへの屈折した感覚や、敗戦後特有のエネルギーのようなものがあって。戦後の漫画には暗さがあるんです。

Celeina:当時の社会情勢を反映しているということで。

川勝:僕は水木しげる先生の漫画が好きなんですが、初期の頃の作品は何とも言えない暗さがあるんですよ。でも、1980年代になるとその暗さが全く無くなってしまう。

タカノ:本当に平成生まれなんですか? 巨匠感が漂っていますよ。

藤枝静男の『痩我慢の説』を漫画化

Celeina:川勝さんは19歳で漫画家としてデビューされたとお聞きしています。

川勝:もともと『ガロ』の編集者が運営していた、北冬書房の『幻燈』で描いていました。

タカノ:編集の方と息があったんですかね?

川勝:編集の高野慎三さんがすごく好きで、尊敬している方だったんです。

Celeina:なるほど。現在、川勝さんはweb漫画サイト「トーチweb」で連載中の『痩我慢の説』で劇画を担当されています。

川勝:藤枝静男さんの同名小説を原作にした、戦後の1957、1958年ぐらいを舞台にした漫画です。この漫画を描き始める前に、僕は編集者をやっていたんですが、漫画の持ち込みの際『痩我慢の説』の話をよくしました。というのも、この作品は芥川賞候補になっていたけれど、石原慎太郎に負けたのです。藤枝静男はそれを受けて「『太陽の季節』と『痩我慢の説』ではタイトルの時点で、どっちが勝つか決まっている」といったことを自虐的に語っていたんです。

だから持ち込みの方には「いまのタイトルだと「痩我慢の説」になっていますよ」とお伝えしていたのです。そんなことが続いて、ある日、久しぶりに小説を読み返したら、ボロボロ泣いてしまったんです。不意打ちでした。それで、漫画にしようと思いたったのです。

タカノ:絵のタッチからも当時の雰囲気を感じましたが、描き方を変えているのでしょうか?

川勝:アナログとデジタルの違いはありますが、大きく描き方を変えているわけではないです。でも、資料はしっかりと参考にしながら描いていますね。

Celeina:8月30日に単行本も発売されるとのことで、ぜひチェックしてみてください。「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいているのですが、川勝さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?

川勝:ミュージシャンで映像作家のバナナさんです。古本のオークションで毎回会う方で、色々と昭和漫画について教わっているのでお呼びしました。

Celeina:今日は漫画家で昭和漫画オタクの川勝徳重さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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