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若者のノリが詰め込まれた平成レトロなアイテム
タカノ:山下さんが持っていらっしゃるそちらのアイテムは?
山下:これは昭和末期のものですが、そろばんに電卓がくっついたアイテムです。平成初期は昭和を引きずっているので景気も良いし、今だったら会議で弾かれるような商品も「良いじゃん」ってノリで発売されていたと思うんですよ。こういった無茶苦茶な感覚が平成らしさだと考えていて。その「会議しました?」みたいな商品の集合体が、今日スタジオに持ってきたファンシー絵みやげなんです。
1980年~1990年代に日本中の観光地で販売されていた子ども向けの雑貨土産なんですが、二頭身の漫画タッチのイラストがキーホルダーや湯飲みなどにプリントされてお土産として販売されていたんですね。土産店では昭和の民芸品が珍重されている一方で、こういった商品は雑な扱いを受けていると感じて集めはじめました。
タカノ:英語でデザインされた部分が気になりますが、こういったローマ字表記もポイントなんですよね?
山下:英文もなかなかどうでもいいことが書いてあるんですけど、例えばこれは「生意気キャッツ」をわざわざローマ字で書いて格好良いデザインに見せているじゃないですか。英語を読めない子どもでも、何か格好良いと思えるデザインになっているんです。
Celeina:確かに、子どもの頃、意味が通らない英語が書かれているパジャマを着ていた記憶があります。
山下:それと文化的には同じです。ターゲットの子供に良いと思ってもらえれば、問題がない。今日は番組に合わせて、三角形の黄色い旗のファンシー絵みやげを持ってきました。当時はバイクで旅行する人が多かったので旗のお土産が多かったんですけど、子ども向けのこれは、棒の部分が鉛筆になっているんですよ。旗と鉛筆を組み合わせるノリが斬新な組み合わせだなと。
タカノ:コスパや機能性よりも「これ良いんじゃない?」というノリで生まれたものが多いんですね。
山下:若者のノリがまるごと刻み込まれているので、民俗学的な資料なんですよ。
Celeina:「旗だけだとつまらないから、鉛筆でいこうよ」みたいなノリが込められていると。
山下:友達と交換していたノートやメモ帳に書いていたような、一番記録しづらい空気感が残っているんですよね。
タカノ:凄いポイントに目を付けられていると思います。
山下:私も軽い気持ちで集め始めたんですが、実は凄い情報や地域性が込められていて、なおかつ物量も多くて。自宅に3万種類のお土産があるんですけど、まだまだ集めきれていない。どんどんお土産が売れて新しい商品が発売されていたので、凄い文化だったんだなと。
タカノ:山下さんの家のお写真を拝見したんですが、壁が一面キーホルダーで。
山下:キーホルダーは鉄の塊なので、壁だけで1tを超えてしまいました(笑)。