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平成レトロ文化研究家・山下メロは、平成の空気感をアイテムから考察する

2024.8.29

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グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

6月18日は、「絶滅メディア博物館」の川井拓也さんの紹介で、平成レトロ文化研究家の山下メロさんが登場。「平成レトロ」というワードを生み出した理由や、注目の平成レトロカルチャーについて伺いました。

平成文化を振り返るきっかけとして生まれた「平成レトロ」

タカノ(MC):僕は山下さんの番組に出させていただいたことをきっかけに、何度かご一緒しているんです。

Celeina(MC):私は初めましてなので、色々とお聞きしていきたいと思います。山下さんは平成レトロ文化研究家ということですが、「平成レトロ」の生みの親でよろしいでしょうか?

山下:そうですね。

タカノ:どういったきっかけで「平成レトロ」を生み出したんですか?

山下:平成になって「昭和レトロ」が扱われるようになったけれど、平成の文化は振り返られていないと思って、2017年の2月に提唱し始めました。そもそも昭和の終わりと平成の始まりは1日しか違わないわけじゃないですか。たった1日違うだけで、なぜそこまで価値が変わる必要があるんだろうと思ったんです。特に平成初期は携帯電話やインターネットも普及しておらず、駅の伝言板を使っているような時代なので。

Celeina:確かに! そう考えると、平成はもの凄いスピードで時代が進んでいたと言いますか。

山下:その通りです。それだけ暮らしが変化しているのに、なぜいつまでも「平成って今じゃん」という感覚でいるんだろうと思いましたし、歴史的な暮らしの違いを記録する必要を感じたんですよ。その際、スローガンを作ることで意識を変えられればと考えて、引っ掛かりのあるワードとして「平成レトロ」が生まれましたね。

若者のノリが詰め込まれた平成レトロなアイテム

タカノ:山下さんが持っていらっしゃるそちらのアイテムは?

山下:これは昭和末期のものですが、そろばんに電卓がくっついたアイテムです。平成初期は昭和を引きずっているので景気も良いし、今だったら会議で弾かれるような商品も「良いじゃん」ってノリで発売されていたと思うんですよ。こういった無茶苦茶な感覚が平成らしさだと考えていて。その「会議しました?」みたいな商品の集合体が、今日スタジオに持ってきたファンシー絵みやげなんです。

1980年~1990年代に日本中の観光地で販売されていた子ども向けの雑貨土産なんですが、二頭身の漫画タッチのイラストがキーホルダーや湯飲みなどにプリントされてお土産として販売されていたんですね。土産店では昭和の民芸品が珍重されている一方で、こういった商品は雑な扱いを受けていると感じて集めはじめました。

タカノ:英語でデザインされた部分が気になりますが、こういったローマ字表記もポイントなんですよね?

山下:英文もなかなかどうでもいいことが書いてあるんですけど、例えばこれは「生意気キャッツ」をわざわざローマ字で書いて格好良いデザインに見せているじゃないですか。英語を読めない子どもでも、何か格好良いと思えるデザインになっているんです。

Celeina:確かに、子どもの頃、意味が通らない英語が書かれているパジャマを着ていた記憶があります。

山下:それと文化的には同じです。ターゲットの子供に良いと思ってもらえれば、問題がない。今日は番組に合わせて、三角形の黄色い旗のファンシー絵みやげを持ってきました。当時はバイクで旅行する人が多かったので旗のお土産が多かったんですけど、子ども向けのこれは、棒の部分が鉛筆になっているんですよ。旗と鉛筆を組み合わせるノリが斬新な組み合わせだなと。

タカノ:コスパや機能性よりも「これ良いんじゃない?」というノリで生まれたものが多いんですね。

山下:若者のノリがまるごと刻み込まれているので、民俗学的な資料なんですよ。

Celeina:「旗だけだとつまらないから、鉛筆でいこうよ」みたいなノリが込められていると。

山下:友達と交換していたノートやメモ帳に書いていたような、一番記録しづらい空気感が残っているんですよね。

タカノ:凄いポイントに目を付けられていると思います。

山下:私も軽い気持ちで集め始めたんですが、実は凄い情報や地域性が込められていて、なおかつ物量も多くて。自宅に3万種類のお土産があるんですけど、まだまだ集めきれていない。どんどんお土産が売れて新しい商品が発売されていたので、凄い文化だったんだなと。

タカノ:山下さんの家のお写真を拝見したんですが、壁が一面キーホルダーで。

山下:キーホルダーは鉄の塊なので、壁だけで1tを超えてしまいました(笑)。

注目の平成レトロカルチャーは「モーツァルト万能説」

Celeina:資料館ですね。山下さんが注目している最近の平成レトロカルチャーを教えてください。

山下:最近だとたまごっちやガラケー、デジカメが話題になっていますが、私はもっと変わったものを集めたいと思っていて。1990年代初頭に大量にリリースされていたJ-POPをオルゴールなどでカバーしたCDを買い集めています。

Celeina:歯医者で流れているような?

山下:まさにその感じです。オルゴールやオーケストラアレンジなどのCDが沢山リリースされていたんですよ。あとは、モーツァルトのCDに注目しているんです。「モーツァルト万能説」と呼んでいるんですが、「モーツァルトでストレス解消」「モーツァルトはロマンティック」みたいにモーツァルトに何かを付け加えてCDを販売しているんですよ。当時は気づいていなかったですけど、今になって気づく平成レトロですね。

Celeina:奥が深いです。山下さんは実際に平成レトロに触れるイベントも実施されているということで、SNSをチェックしてみてください。さて、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいているのですが、山下さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?

山下:家電蒐集家の松崎順一さんです。特にラジカセを収集されている方なんですが、単に集めるだけではなくメンテナンスのパーツを仕入れたりしていて。メーカーが修理を終えてしまったようなアイテムでもメンテナンスできる状態を作って、文化を守る活動をされている方なので尊敬しています。

Celeina:貴重な存在ですね。今日は平成レトロ文化研究家の山下メロさんをお迎えしました。ありがとうございました

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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