グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
5月13日は、番組からの推薦で、リメイクブランド「途中でやめる」のデザイナー・山下陽光さんが登場。「途中でやめる」を始めることになった経緯や、横浜トリエンナーレに参加したエピソードなどについて伺いました。
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音楽からアートまで、影響を受けたものがダイレクトに服に表れる
タカノ(MC):「途中でやめる」は僕が大好きなブランドでして、今日も「新宿」Tシャツを着ております。山下さんも今日はブランドの服を着ていらっしゃいますよね。
山下:そうですね。何か着てこなきゃなと思って。
Celeina(MC):このパンツもご自身でリメイクされたんですか?
山下:そうなんです。お母ちゃんセンスというか、昔の黒電話にかかっていたレースみたいな布を膝に縫い付けています。カフェに行ったら「あなたこれ自分で作ったの!」と言われて、店にいたおばあちゃんに触られました(笑)。
Celeina:すごく素敵です。
タカノ:基本は一点物で、山下さんが作られているんですよね?
山下:僕とあとバイトの人とか、内職の人が何人かいて、一緒に作ってもらっています。

タカノ:実は「途中でやめる」を知ったきっかけが、「AR三兄弟」の川田十夢さんなんです。服をいつもどこで買っているのかを聞いたら、このブランドを教えてくれて。オンラインショップを見てみたらとてもおしゃれだったので、新作の通知が来るたびに買っているんですよ。
Celeina:大人気すぎて、すぐ売り切れちゃうほどですもんね。

山下:恐らくそんなに人気ということはないんですけど、100人欲しい人がいて、10個しか作っていない状態がずっと続いているだけなんですよ。
タカノ:いやいや、十分人気だと思いますし、ファンは大勢いらっしゃいますから。ちなみに、ブランドの立ち上げは2004年なんだとか。
山下:そうなんです。20年ってもう辞めないといけないですよね。
Celeina:「途中でやめる」というブランド名が意味を持ってしまいますね(笑)。
山下:やる気もないじゃないですか。20年続く名前じゃないですよね。まぐれでつけちゃったような名前で、こんなに続いているのが不思議なくらいです。
タカノ:途中でやめないでほしいですね。ブランドを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
山下:パンクがすごく好きで、特にSex Pistolsの音楽が好きだったんですが、自分がやる側になるのは明らかに全然違うなという感覚があったんです。音楽は好きなのに、指が痛すぎて楽器が弾けないし、カラオケもあまり歌えないし。でも服だったら、安全ピンで繋いでいるだけだから作れるんじゃないかなと思いました。それは今もあまり変わっていなくて、見たものでこれ作れそうだなと思ったものを作ってみたりします。
今着ている服も、国立新美術館でやっていた展示『マティス 自由なフォルム』で見た切り絵がすごく良くて作りました。しば漬けとかポカリスエットとかいろいろなものにハマってきたんですが、Sex Pistols期を経て、今はマティス期に突入しているんです(笑)。

タカノ:山下さんが日々生きている中で、いろんな物事からインスピレーションを受けて、ダイレクトにアウトプットとして出ているんですね。
山下:本当にそんな感じですね。
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毎朝20個言いたいことを書き出すことでデトックスする
タカノ:いつも新着販売のリリースメールが届くんですけど、山下さんの日記のようなコラムがそのお知らせメールについてくるんですよ。それがすごく面白いです。
山下:毎日、朝起きると20個何かを書くんです。Twitterが好きなんですが、見ていると何かを言いたくなるんですよ。その言いたい気持ちを鎮めるために、1日20個何か書くようにしたら、かなり収まるということに気づきました。そういう日記みたいなのを普段書いていて、新作をアップする時には、その日書いた日記も一緒に送っているんです。
タカノ:あの日記はメールでしか読めないんですか。
山下:そうですね。一応毎日書いているんですが、1ヶ月に1回くらい新作をアップする日の分しか送らないです。他の29回分もあるんですが。
タカノ:その29回分もすごく読みたいです。
Celeina:どこかで公開したいな、みたいな思いはないんですか?
山下:どうでしょう。あんまりわからないですね。
タカノ:あそこでしか読めないというのが、またいいのかも知れないですね。
Celeina:毎朝書く作業をすることで、自分の中のデトックスができるみたいな感覚でしょうか。
山下:そうですね。本当にみんなやった方がいいと思います。
タカノ:とにかく「途中でやめる」の魅力は、デザインとか一点物とかリーズナブルとか、本当にいろいろあるんですけど、山下さんの人生や日々の生活にある山下イズムみたいなもの、山下さんの出汁が洋服に注入されている感じが面白いんです。山下さん自身が面白いから僕もブランドのファンみたいなところがあります。
山下:ありがとうございます。
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横浜トリエンナーレに初参加
Celeina:「途中でやめる」ですけれども、横浜トリエンナーレにも初参加されるんですよね?(3⽉15⽇(⾦)〜6⽉9⽇(⽇)に開催され、現在は終了)
山下:そうなんです。ポテンヒットみたいな感じで参加することになりました。リサイクルショップ「素人の乱」を一緒に始めた松本哉が横浜トリエンナーレに呼ばれたんですが、アートなんかやらないと言って拒否していたみたいなんです。そこで、開催寸前になって松本が出ないと言っているから出てくれと言われて、出ることになりました。結局松本も出ることになったんですが。
タカノ:どういった展示になりそうですか?
山下:毎週末に大井競馬場でフリーマーケットが開催されていて、言葉を選んで言わないといけないような、品の良くない面白いものばかり売っているんです。僕はそのフリーマーケットに行くのがすごく好きなんですが、そこで買ったものをただ置いて自慢しているだけの、アートかどうかもよくわからないような展示になりそうです(笑)。中には、おじいちゃんが描いた昔の絵とかがあって、それをそのままシャツに縫い付けて絵とセットで売ります、みたいなことを言っていたら、「面白すぎるから、お前だけ店をやれ」と言われて、お店をやることになっていますね。
タカノ:展示即売会って形になっているんですね。
山下:美術館の展覧会で物を販売したりすることは普通できないんですが、中国のディレクターの方がルール無用で、「おもろいからお前はいろいろ考えずに店だけやっていろ」と言われて(笑)。美術館もかなり困って、3回だけお店をやりましょうということで落ち着きました。すでに2回販売したんですが、最終日に僕が大井競馬場で買った面白い品も放出しようかな、なんて思っています。

タカノ:いいですね。本当にそういった生き様自体が、ある種アートですよね。
Celeina:さあ「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいているのですが、山下さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?
山下:洋服のブランド「TARZANKICK!!!」をやっている森田文明さんです。『タクシードライバー』という映画が1人だけずっと続いているような、少しやばい人ですね。
Celeina:それは楽しみですね(笑)。今日お迎えしたのは、リメイクブランド「途中でやめる」のデザイナー、山下陽光さんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann