グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
5月2日は、イラストレーター・アニメーション作家・漫画作家の北村みなみさんからの紹介で、画家の丹野杏香さんが登場。絵を描く時のアイデアの源泉や、本の装画を手がけた時に使用した画材などについて伺いました。
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色々な国の文化や風土から影響を受け、民芸品のような作風に
Celeina(MC):昨日ご登場いただいた北村さんとはお友達なんですよね。
丹野:そうなんです。北村さんがイベントに出ている時に初めてお会いして、「まだ学生なんですけど、実はすごいファンなんです」と話しかけたら、気さくに話してくださったんです。そこから交友が始まりました。
タカノ(MC):お互いアーティスト同士で、物作りをされているから共鳴するところがありますよね。ちなみに丹野さんが作られている作品はイラストと読んでいいんでしょうか……?
丹野:どうなんでしょう。イラストレーションとして使われたらそれはイラストレーションなのかなと思うんですけど、展示して絵を飾ったりもします。なので肩書きはよくイラストレーター兼ペインターにしています。
タカノ:なるほど。そして作品が素晴らしいんですよね。
Celeina:白と黒を基調とした絵が多いなという印象があります。版画のようにも見えるんですが、これは何で描いているんですか?
丹野:黒のアクリル絵の具を使って筆で描いているんですけど、切り絵や版画っぽく見えるように形を描いています。
タカノ:オリエンタルな感じもするし、民芸品ぽさもあるんですけど、でもどの地域なのかとか、どの時代なのかがわからないっていう不思議さが面白いです。
Celeina:なんだか匿名性がありますよね。
タカノ:どうやってこの作風に行きついたんですか?
丹野:私は専門学校出身なんですが、そこで卒業制作を作った時には大体今の絵の形にはなっていました。当時からずっとモノクロで描いていて、卒業制作の時はもうちょっと線が細い感じの絵だったんですけど、描き進めていくうちにだんだん太くなっていって、今のどっしりしたようなフォルムになっていきました。あと、色んな国の文化とか風土に興味があって、本を読んだり図鑑や画集を見たりするのが好きなので、さっきおっしゃってくださった民芸品のような雰囲気は、そういうところから影響を受けていると思いますね。
タカノ:「本」というワードが出ましたけれども、丹野さんは『思いがけず利他』(ミシマ社)、『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社)などの本の装丁も手がけていらっしゃいます。僕も『思いがけず利他』は持っているんですが、飾りたくなるような装丁で、すごく格好いいんですよ。
丹野:ありがとうございます。
Celeina:『思いがけず利他』の装画は、特徴のあるものを使って描かれていると記事で読んだんですが、何で描かれているんでしょうか?
丹野:版画っぽいテクスチャーの部分だけ、端材にインクをつけてスタンプする感じで描いているんです。家にいっぱいガラクタがあるんですけど、木の端材とかラップの芯を形に合わせて切って、ちょっと加工してスタンプするみたいな感じですね。『思いがけず利他』の頭のテクスチャーのところは、木の洗濯ばさみの柄の部分を使って押しています。
Celeina:言われてみたら納得がいきますよね。
タカノ:確かに木目っぽさが感じられます。本の内容に合わせて描き方は考えるものなんですか?
丹野:本は依頼によって様々なんですが、デザイナーさんの方で「こういうイメージがあるのでこういう絵を描いてください」って決まっている場合もあれば、「一度原稿を読んで、思いついたアイデアをそのまま出していただければ大丈夫です」みたいな場合もあったりで、まちまちですね。
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番組MCタカノの自費出版本の装画について丹野さんがコメント
タカノ:実は、私も自費出版で小説を出すことになって、文学フリマに出品する予定なんです。それにあたって書影も僕の方で考えて、デザイナーの知り合いの方にもお手伝いしてもらって進めているんですけど、アドバイスをもらえたら嬉しいです。
丹野:私で良いのでしょうか(笑)。
Celeina:関係者以外でタカノさんの本の装丁を見るのは丹野さんが初めてなんじゃないですか?
丹野:それは緊張しますね。
タカノ:『マグネティック』というタイトルなんです。
丹野:これはどういった小説なんでしょうか?
タカノ:大人のラブコメ的な、ちょっとドロドロしたお話ですね。登場人物はみんなちょっとズレてる感覚の持ち主なんですけれども、愛とか嫉妬みたいなものがぐちゃぐちゃになっていくような内容です。
丹野:その人と人が交錯していく感じが、線の交わりみたいなところで表現されているんですかね。
タカノ:素晴らしい! そうなんですよ。
丹野:印象としては、さっぱりと爽やかな感じもしつつ、でも黒がドンと真ん中に来るから、それがちょっと不穏な雰囲気を感じさせていいと思います。
Celeina:丹野さんお墨付きですね! 私は全然関係ないのに嬉しくなってきました。
タカノ:もう大丈夫な気がしてきました。今夜入稿しようかな。
丹野:楽しみですね。どれぐらいの文量なんですか?
タカノ:少し薄めで、A6サイズの紙が27、8枚分くらいです。小冊子みたいな感じですね。
丹野:文学フリマはいいですよね。私も1回友達と出そうとして、抽選で落ちたんですよ。
タカノ:そう、抽選があるんですよね。文学フリマでもお会いしたいからまたぜひトライしてほしいです。丹野さんの絵は文学の香りがして素敵なので、いつか僕も装丁のご依頼をできるように頑張ります。
丹野:本当ですか、嬉しいです。個人で作られている冊子の装画を描かせていただいたこともありますので、私でよろしければやらせてください。