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価値観が真逆に。ニュージーランドで学んだ豊かな暮らし
Celeina:ニュージーランドへ母子留学されていたそうですね。
柿本:子どもを2人連れて、3人でニュージーランドへ留学しました。当時の旦那さんに日本から送金していただいて、2年半住んでいました。
奥浜:なぜニュージーランドだったんですか?
柿本:当時駒沢で住んでいたマンションに引っ越してきた家族が、ニュージーランド人の旦那さんと日本人の奥さんと子どもたちで、私の子どもと年齢も近いこともあって、仲良くなったんです。彼らがニュージーランドへ戻る時に「いつか私たちも、子どもを留学させたいと思っているんだ」と話したら、「早い方がいいんじゃない? 一緒においでよ」と言ってくれたので、じゃあ行こうかなと決めました。ニュージーランドには行ったことがなくて、いきなり住んだので、相性があっていてよかったです。
Celeina:その決断力がしなやかです。お子さまはおいくつだったんですか?
柿本:小学校2年生と幼稚園の年長でした。まったく英語が喋れない状態で、いきなり現地の学校に入学したので、すごく泣いていました。
奥浜:留学していた2年半で、言葉も話せるようになったんですか?
柿本:はい。子供は早かったですね。最初は泣いていましたが、3、4日したら友達と手を繋いで帰っていました。
Celeina:柿本さんがしなやかマミーだから、お子さんもしなやかキッズなんですね。すごい適応力です。
奥浜:柿本さんご自身は、いかがでしたか?
柿本:もともと英語を大学で学んでいたのですが、まったく喋れない状態で行ったので、分かっている風な感じで、やりすごしていました(笑)。相手の表情で、面白いことを言いそうな雰囲気は分かるので、何か言ったら、ギャグの意味が分からなくても笑っていましたね。
Celeina:ニュージーランドで2年半過ごされて、帰国する時はどんな心境でしたか?
柿本:帰国したくなかったです。ニュージーランドにいる間は、こんなに豊かな暮らしがあるんだと毎日驚いていました。日本で編集の仕事をしていると、徹夜してそのまま撮影へ行くことが多いのですが、ニュージーランドは、夜にしっかりと寝て、朝早くからランニングをしたり、広いお庭でバーベキューをしたりする暮らしが普通だったので、価値観が真逆になりました。
Celeina:帰国してから、日本での暮らしに対する考え方やご自身のメンタルのあり方などに変化はありましたか?
柿本:何を大切にして生きていくのかについて、考えられるようになりました。それまでは、ブルドーザーのように目の前の仕事に取り組んで、家に帰って家事をして、子育てをするという、こなすという感覚が少しありました。だけど、ニュージーランドへ留学して、どう生きていきたいのか、大切なものは何なのかについて考えさせられました。そして、現地の方が皆さん親切だったので、人に優しくすることについて、もう1度学んだところもあります。
奥浜:毎日ブルドーザーみたいに生活を送っていると、ニュージーランドへ行くと豊かさって何だろうと考えるきっかけになりますよね。
柿本:夜って真っ暗なんだということにも驚きましたね。そして、お父さんが18時に帰ってきて、家族皆んなで海でご飯を食べて寝るという生活を、私が徹夜している間に送っている人たちがいたんだと知って、少し泣いたりもしました。
Celeina:今、留学することを迷っていたり、海外へ飛び出してみたいと悩んでいたりするリスナーに向けて背中を押すような言葉をかけるとしたら、何を言いますか?
柿本:長く行かないといけないとか、そこまで気負わないでほしいです。私自身、相談を受けることもよくあって、「親も子どもも価値観が変わるから、1ヶ月でもいいし、行ってみたらいいよ」と話しています。実際に、私の話を聞いて留学される方も多いです。
Celeina:では、ここで1曲お送ります。柿本さんに、この時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでいただきました。選曲理由を教えてください。
柿本:ニュージーランドへ留学してすぐに息子のお遊戯会があって、その時に使われた曲になります。息子は踊りが覚えられなくて泣いて、私は息子が着るカニの衣装を作らなくちゃいけなかったけど、作れなくて泣きました(笑)。そんな思い出の曲を、久しぶりに息子と聴き直したら、「歌詞がすごくいいね」という話になりました。あの頃はわからなかったけど、心が緩む曲だなと思います。The Beatlesで “Octopus’s Garden”。