グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
11月16日は、日本で唯一のルートビア専門家で、「THE ROOT BEER JOURNEY」代表の高田ユウさんが出演。今回は、ルートビアの歴史についてだけではなく、高田さんがルートビアの探求を始めたきっかけや世界中のルートビアについても伺いました。
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薬膳で根っこ? 知れば知るほど面白いルートビア
Celeina(MC):まずはプロフィールをご紹介させていただきます。1990年生まれ、石垣島ご出身です。自家製の樽生ルートビアと数種類の世界のルートビアを取り扱うルートビア専門店「THE ROOT BEER JOURNEY」の代表をされています。フードイベントよりもアート系イベントに出没しがちだそうです。世界中のルートビアを飲むことと、琉球空手がライフワークということですけれども、高田さんはルートビアにすごく詳しいと聞いております。
高田:はい。一人で勝手に研究しています。
タカノ(MC):今日着ているお洋服にも「ROOT BEER」と書いてあります。かっこいいです。
Celeina:素敵です。そもそもルートビアって? というところからお聞きしたいのですけれども。
高田:僕はルートビアを「薬膳炭酸飲料」と呼んでいます。
Celeina:薬膳?
高田:ルートビアはドクターペッパーとかコーラの親と言われる存在で、いわゆるスパイス系炭酸飲料です。スパイスを使った飲み物の原型は、ルートビアから始まったと言われています。
Celeina:知らなかった。
高田:日本ではなじみがないんですけども、世界中には沢山の種類があって、実はすごくメジャーな飲み物なんです。
タカノ:コーラよりも先にあったということですか?
高田:そうですね。元々はビールの派生で生まれた飲み物なんですけれども、かなり神秘的な飲み物でもありますし、歴史が深い飲み物です。
タカノ:ドクターペッパーも、ルートビアのジャンルで括られるのかなと思っていました。
高田:広義の意味ではルートビアと言えます。ルートビアの定義を言うと、根っこが入っていてシュワシュワしているものです。

タカノ: ルートビアの「ルート」は根っこの「ルート」ということなんですか?
高田:そうですね。
Celeina:植物の根っこのビア。根っこがシュワシュワしているということですか?
高田:根っこには大体サポニンって成分が入っているんです。ごぼうとか、タンポポの根っこにも当てはまるのですけれども、煮るだけで泡立ってしまうんです。それだけでもルートビアなのですが、生姜が入ったりしていると完全にルートビアと言えますね。
タカノ:ジンジャエールもルートビアですか?
高田:ジンジャーも根っこなのでルートビアの一種ですね。
タカノ:発見があって面白いですね。
高田:そうなんです。全然知られてないんですけど。
タカノ:このあたりの定義から聞くと、世界が広がる感じがしてすごくいいですね。
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独自のルートビアを開発し始めたきっかけは、東京になかったから
Celeina:東京ではあまり飲める場所がない気がします。
高田:売っているところはコストコやドンキホーテ、カルディコーヒーファームとか、主に輸入食材店にあったりします。それか僕がルートビアを流しているときに出会うと飲むことができます。
Celeina:流している?
高田:都内でイベントとかに出ていたりするんですが、そこで沢山の種類のルートビアを出しているんです。僕に出会って初めてルートビア飲みましたという人も結構いらっしゃるので嬉しい限りです。
Celeina:高田さんも独自のブレンドでルートビアを作られているのですか?
高田:はい。沖縄だとルートビアはポピュラーなので、小さい頃からよく飲んでいたんです。東京で売ってないことにちょっとむかついちゃって、ルートビアがないのであれば、「作ってやる!」と思って始めました。
Celeina:なるほど。沖縄で売っているお店だと「A&W」とかですか?
高田:そうですね。A&Wは元々、ルートビアスタンドから始まったハンバーガーチェーンです。
Celeina:気になったことがあるのですけれども、ルートビアには大量生産型もあれば、小ロットのような贅沢に丁寧に作られたクラフトみたいなジャンルもあるのでしょうか?
高田:世界中には沢山ありますね。まず1000種類ぐらいありまして、いわゆるコーラとかドクターペッパーも、ペッパー飲料やクラフトコーラ飲料と言われていますが、ルートビアには及ばないです。ルートビアは色んな素材を使った種類がありまして、定義も広いので、すごく世界が広いんですよ。今日は、僕が作ったルートビアで商品化を検討しているサンプルをスタジオに持ってきました。
タカノ:飲ませていただけるということです。瓶がすごくかっこいいですね。
Celeina:おしゃれ!
高田:ルートビアは薬草を煮出して作る飲み物なので、僕らのルートビアはいわゆる薬品瓶に入っています。
タカノ:茶色の瓶で、ラベルのデザインもすごくかっこいいです。
Celeina:蓋も蝋で閉めたようなデザインですね。
タカノ:家の本棚の上に飾りたいな。
高田:ありがとうございます。
Celeina:高田さんを前にして失礼がないようにしたいのですけれども、ルートビアって湿布の味がすると言われておりますが……。
タカノ:言っちゃった(笑)。
高田:いわゆる飲むサロンパスとか、世界一まずい炭酸飲料とか言われます。
Celeina:いやいや、そこまでは(笑)。でも分かりやすく味を例えるとそのような印象があるんです。(ルートビアを見て)すごくシュワシュワしていますね!
高田:ルートビアって色んな根っこを使っているので、泡立ちがすごく高いのですけども、特にハーブの成分によって泡が出ています。
Celeina:泡の量が生ビールみたいですね。
高田:クラフトで作るとここまで泡が出ます。
タカノ:フワフワです。
Celeina:綿あめみたいです。そしていい香り。
タカノ:美味しい! すっきりしていますね。
高田:いわゆるA&Wとか他のルートビアとは違った薬草の味です。
Celeina:全然違いますね。
高田:このルートビアのイメージは正露丸のイメージです。
タカノ:言われてみればそうですけど、薬の感じは全然しないです。
Celeina:こんなに美味しいルートビアは飲んだことがないです。
高田:いわゆるコーラとも違う味がちゃんとしていて、木の味という感じです。
Celeina:木の味というのはしっくりきますね。この泡もすごく独特というか、炭酸水で割っているのでしょうか?
高田:割っただけですね。
Celeina:こんなに泡立ちを見せるんですね。
高田:映える飲料だと僕は言っています。
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出身地である沖縄の素材を使ってオリジナルのルートビアを作る
タカノ:ルートビアを作る際にこだわっているポイントはありますか?
高田:僕は沖縄県の石垣島出身なので、石垣島の原野に生えているハーブを使おうと思っています。沖縄ではピパーチと呼ばれている胡椒であったり、ウコンであったり、そういった沖縄の素材を使って作っています。あと僕はサトウキビ農家の息子なので、石垣島のサトウキビ100%の甘みで作っています。
Celeina:なるほど。すごく甘みが強いけど、すっきりした後味ですね。
タカノ:全然しつこさがないんです。
Celeina:だからもう1口と飲みたくなっちゃう。こんなルートビアは初めてです。
高田:肉を食べている時に一緒に飲んだりとか、ジャンキーなものでもすごく合いますね。
タカノ:もちろん食事と合わせても美味しいのでしょうけれども、ルートビア単品で飲んでも満足感がありますね。すっきりした感じで、心なしかリフレッシュした気がします。
高田:チル系の落ち着きながら飲むような味になっていると思います。
Celeina:ルートビアを好きになってしまいますね。
タカノ:これをきっかけにハマりそうですよね。
高田:ニッチな飲み物なんですけどね。
タカノ:高田さんに出会えるようにSNSを追いたいですね。
Celeina:高田さんがいるところでもっとルートビアを飲みたい。ぜひこちらの商品化も楽しみにしています。ここで1曲お送りしたいと思うのですけれども、高田さんに選曲いただきました。選曲された理由から教えてもらえますか?
高田:ルートビアの曲になるのですけれども、有名な歌手のビリー・ジョエルが作った“Root Beer Rag”という曲で、1974年のアルバムに入っています。ルートビアには、薬品臭さがあってマウスウォッシュみたいな効果があるので、毎回1口目に戻してくれます。だからジャンキーなものが美味しくなるんです。
Celeina:口直しのような感じですね。
高田:ビリー・ジョエルは、この曲を口直しの曲と言っていて、すごく有名なポップソングの合間に必ず演奏するんです。軽快なピアノのインストゥルメンタルの曲です。聴いてください。
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民俗学や文化人類学につながるルートビアの奥深さ
Celeina:先ほど、高田さんが作っていらっしゃるオリジナルのルートビアのシロップのお話を伺いましたけれども、高田さんは海外にも訪れてルートビアを色々と堪能されているとお聞きしました。
高田:アメリカ大陸とかを縦断しながら、ルートビアを1日50杯飲んだりしていました。
Celeina:これまでに出会ったルートビアの中で、すごく印象に残っているものはありますか?
高田:ベトナムのルートビアが面白くて、泡まで黒いんです。この世のものとは思えない味がして、何を使っているのかどれだけ研究しても分からないぐらいの真っ黒なルートビアがありました。僕はInstagramでルートビアを紹介するときに、ルートビアに合う曲や映画も紹介しているのですが、このルートビアに合う映画は、ベトナム戦争を題材にした『地獄の黙示録』でした。
タカノ:甘さはあるのですか?
高田:甘さもありましたが、ちょっと意識が飛びそうになりました。あとは牛小屋の下に溜まった水みたいな味がして、匂いが発酵しているんです。
Celeina:結構ですね(笑)。つまりルートビアは、世界の色んなところに行くと、それぞれの土地の味を楽しめるということですか?
高田:テロワールではないですが、ルートビアを研究していて面白いのは、ルートビアはその土地に根づいたものなので、民俗学や文化人類学の領域に入っていくんです。アメリカで名前がついた飲み物ですけど、本当は人類が土器を発明して何かを煮出したときから始まっていると僕は思っています。そのあたりが魅力で研究対象ですね。
タカノ:掘りがいがすごくありますね。
Celeina:面白い。高田さんがもう一度飲みたいルートビアはありますか?
高田:飲みたいルートビアはいっぱいありますね。アーミッシュがアメリカ開拓時代の電気もガスもない生活で作っているルートビアが今だにあって、それは飲みたいですね。あと、台湾はルートビア大国と呼ばれていて、8種類ぐらいのルートビアがあるんです。塩が入っている台湾さながらのすごくエキゾチックな味もありますが、すごく八角が効いたルートビアなどもあります。世界中にまだ飲んでいないルートビアがあるので、それを旅しながら飲んでいきたいなと思っています。
タカノ:いいですね。
Celeina:ルートビアのお話を聞いていたら、歴史の話まで話すことができて、ルートビアって深いですね。
高田:ありがとうございます。
Celeina:「FIST BUMP」、本日は日本で唯一のルートビア専門家「THE ROOT BEER JOURNEY」の高田ユウさんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann