グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
10月18日は、映像作家の長添雅嗣さんからの紹介で、スタジオカラーの吉﨑響さんが出演。今回は、現在の活動の原点となった音楽やアニメーションなどの話だけではなく、師匠・森本晃司と出会ったエピソードや『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズに携わることになったきっかけについて伺いました。
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「センスを磨きすぎたオタク少年」のカルチャー遍歴
Celeina(MC):今日登場してくれるのは、映像作家の長添雅嗣さんからのご紹介で、スタジオカラーの吉﨑響さんです。よろしくお願いします。
吉﨑:こんにちは。
Celeina:まずは吉﨑さんのプロフィールをご紹介します。株式会社カラーに所属、監督そして、映像ディレクターを務めていらっしゃいます。『マクロス F』『龍の歯医者』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などの制作に参加されています。主な監督作には、Netflixで配信されている音楽映画『Adam by Eve: A Live in Animation』の劇中歌であるEveの”暴徒”、 日本アニメ(ーター)見本市の第3弾として公開されたTeddyLoidの”ME!ME!ME! feat.daoko”などがあります。

総監督:庵野秀明

総監督:庵野秀明

監督:吉﨑響
タカノ(MC):昨日、長添さんが吉﨑さんを「センスを磨きすぎたオタク少年」と言っていました。
吉﨑:オタクと自称していいかは分からないですが、多分オタクだと思います。
タカノ:今、吉﨑さんが影響を受けたものをまとめたメモを見ているのですが、これちょっとやばいですよ。森本晃司さんは師匠になるのですか?
吉﨑:そうですね。森本さんは弟子を取らないと言っていたのですが、「弟子にしてください!師匠!」と言って、勝手に弟子になりました。森本さんはSTUDIO4℃の創立メンバーで、今はphyというブランドをやっています。
タカノ:ケン・イシイさんの”EXTRA”の監督ですね。
吉﨑: そうですね。1995年のミュージックビデオです。
タカノ: あとは1990年代で、吉祥寺のShop33ですね。
吉﨑:おじさんたちの記憶を喚起させるショップ名ですね。テクノが好きだった人はみんな、絶対Shop33を通ってきていると思います。テクノカルチャーの発信地です。
Celeina:実際にはどんなものが売られているのでしょうか?
吉﨑:元々、レコードやCDのレンタルショップをしていて、その後、海外の色んなアパレルを取り扱うお店になりました。イベントのフライヤーやカセットテープ、ミックステープ、デモテープが沢山ある中で、商品としては主にTシャツなど洋服がありました。
タカノ:そのほかに吉﨑さんが影響を受けたものとして、日本にエレクトロニックミュージックを広げたレーベルのThird-Ear(現U/M/A/A)や、グラフィックデザインやVJにおいてはデザイナーズ・リパブリックなどがあります。あとは言わずもがな、庵野秀明さんですね。『MTV’s Amp』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『MEMORIES』、『攻殻機動隊』、メガドライブやプレステなどのゲームやカルチャー誌、DTM、さらにクリス・カニンガムやミシェル・ゴンドリーの影響も受けていらっしゃいます。
このラインナップのタイトルを耳にして、話をしたいと思う40代あたりの方は結構多いと思います。「センスを磨きすぎたオタク少年」と長添さんが言っていた意味がわかりました。
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森本晃司への弟子入りは直談判
Celeina:オタクの世界に足を踏み入れたきっかけはありましたか?
吉﨑:ダンスミュージックがすごく好きで、1995年に友達の誘いで『Natural High!! ’95』という日本初の野外レイヴパーティに行ったんです。そこでケン・イシイさんのステージの映像で”Extra”のミュージックビデオが流れていて、すごく衝撃だったんです。これまで見てきたアニメと全然違うので、アニメの概念がすごく変わってしまって、「これはやばい」と衝撃を受けてからは、どっぷりテクノの世界に入っていきました。
タカノ:森本さんに弟子入りをされたきっかけやエピソードはありますか?
吉﨑:森本さんのことを雑誌などで調べていて、出入りしている八王子のタイ料理屋さんを見つけたんです。そこに森本さんはいなかったのですが、店長さんが「今度紹介してあげる」と言ってくれて、紹介してもらいました。森本さんを真似したイラストばかり描いていたので、それを見せて「弟子入りさせてくれ!」とずっと言っていました。
Celeina:行動力がすごいですね。エネルギーはどこから来るのですか?
吉﨑:分からないですけれど、当時はそれしか見てないという感じでした。
Celeina:好きを突き詰めていらっしゃったのですね。
吉﨑:そうですね。嫌いなことをやりたくないだけとも言えますね。絞っていくと、もうそれしかない、見つけた! という感じです。
タカノ:全ての原点は、”Extra”のミュージックビデオを観たところですよね。そこから、テクノの世界や音楽、カルチャー、アニメーションにどっぷり入っていったわけですが、この入り方がすごく深いんですよ。のめり込むコツはありますか?
吉﨑:なりふり構わずだったので、コツはわからないですね。本当に好きという気持ちだけだと思います。
タカノ:カルチャーに対してはいまだにですよね。
吉﨑:おじさんになっちゃったんですけど、抜け出せない。
タカノ:庵野さんのお名前も先ほど出ていましたけれども、『新世紀エヴァンゲリオン』が好きで作品に関わり始めたのが、感慨深いですよね。
吉﨑:感慨深すぎますね。最初にタイ料理屋さんで出会ったのは森本さんじゃなくて、当時『新世紀エヴァンゲリオン』を作っていた会社、ガイナックスの当時の社長の山賀博之さんでした。山賀さんとたまたま相席だったんですけど、絵を見せたら「面白いからうち来なよ」と言ってもらいました。
僕にとって、山賀さんはアニメの世界に招き入れてくれた人ですね。最初は、『新世紀エヴァンゲリオン』を作っている会社だとしか思っていなかったんですが、巡り巡って十数年経って、その後時間を経て、庵野さんに拾ってもらって『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの制作に関われているのは、本当にご縁だと感じます。。
タカノ:好きだけではなく、ちゃんと才能や実力を認められてというストーリーですね。まだまだお話を伺いたいんですが、ここで1曲お送りしたいと思うのですけれども、吉﨑さんがこの時間にみんなで聴きたい曲を選んでもらったんですが、どんな曲でしょうか?
吉﨑:先ほどからお話に出ている森本師匠のミュージックビデオ、ケン・イシイさんの”Extra (Video Edit)”です。
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原点”Extra”は今も共に
Celeina:吉﨑さんの選曲でお送りしたのはケン・イシイで”Extra (Video Edit)”でした。アナログもスタジオにお持ちいただいているということで。
吉﨑:1995年当時に買ったやつと最近買い直したやつと、この時のシリーズを全部持ってきました。
タカノ:ジャケットもいいですよね。世界観にこだわっているところもすごく素敵です。
吉﨑:これこだわっていて、蓄光になっていて、夜になると光ります。
Celeina:こちらはお部屋で飾っていらっしゃるのですか?
吉﨑:日焼けしないように棚にしまっていますね。
タカノ:吉﨑さんの人生を変えた曲と知って、お話を聞きながら曲を聴くと、我々も色々と思いを馳せてしまいますね。
Celeina:吉﨑さんは、自分だけの大事なタイミングなどで、この曲をプライベートで聴き直すことはありますか? 映像を見直したりとか。
吉﨑:ミュージックビデオの仕事をするときは必ず聴いていますね。定期的に聴きたくなります。頭の中でずっと流れているので、Spotifyとかで聴く機会はすごく多いです。
タカノ:生活の中にケン・イシイさんがいらっしゃるのですね。そして、最新の映像作品であるEveの”暴徒”のMVですが、こちらもめちゃくちゃかっこよかったですね。
監督:吉﨑響
Celeina:見応えがある作品でした。
タカノ:動きの一つひとつに生々しさがあって、世界観はSFチックですね。
吉﨑:そうですね。森本さんと『エヴァンゲリオン』と色々な要素が、自分の中で消化されて出ました。多分、色んなところでそういう要素が見られると思うんですけど、全部吐き出したみたいな感じですね。
タカノ:DNAを感じました。
Celeina:リスナーの皆さんで、もしまだ観ていない方いらっしゃったらチェックしてもらいたいと思います。「FIST BUMP」グータッチでつなぐ友達の輪! ということで、お友達を紹介してもらっていますが、吉﨑さんがご紹介してくださるのはどんな方でしょうか?
吉﨑:グラフィックデザイナーで、「GraphersRock」としても活動している、岩屋民穂さんです。
Celeina:どんなご関係でしょうか?
吉﨑:テクノ繋がりですね。DAOKOさんのライブの楽屋ですごくテクノを感じるアパレルを発見したんです。これは1990年代2000年代のテクノだと思って、「これは誰ですか」とSNSに書いたら、「私が作りました」って岩屋さん本人が教えてくれました。SNSで繋がって話をしていたら、やっぱりShop33繋がりの人だったんです。その後は、トークライブに呼んでもらったりして、今でも仲良くしてもらっています。
Celeina:一言で表すとどんな方ですか?
吉﨑:グラフィックデザインでテクノを語る男。
タカノ:楽しみですね。
Celeina:ありがとうございます。明日は、「GraphersRock」名義で活動するグラフィックデザイナー・岩屋民穂さんに繋ぎます。今日、お迎えしたのはスタジオカラーの吉﨑響さんでした。ありがとうございました。
吉﨑:ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann