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良いも悪いも自然に歌う、これからのGOFISH
ー(編集・柴田)小さいときはどういうお子さんだったんですか? 1人で遊ぶことが多かったとか。
テライ:小さい頃はそうですね、 寂しん坊でした。兄が2人いて、3人兄弟の末っ子です。
ー(編集・柴田)その時に感じていた寂しさは、いわゆる辛いという感覚とは少し違うってことですよね?
テライ:そうですね、どこかセンチメンタル中毒的なところがありました。おセンチなことに、切なさに甘美を見出してたたところがあったんです。いまだに音楽を作るときでもそれはずっと続いています。でも、いつまでもただただセンチメンタルなのは、ちょっと辟易し始めてる。

─違う景色も見てみたい、という感じでしょうか?
テライ:ただただセンチメンタルな感じにはもう興味がない。だって、みんなそんなに品行方正にだけ生きてるわけじゃないですよね。やらしいものもあるし、人には伝えなくて自分の中に渦巻いてるものとか、抱えてるものもある。そういうものも歌として、普通に歌えばいいんじゃないかという気がしています。わかりますか?
─なんだかすごく自然体だなと感じます。
テライ:そう、自然。良いも悪いも自然に。今って、どこか良きことを歌う感じが強いじゃないですか。良きことというか、そこを目指しているというか。でも、昔はそうでもなかったし。もっと意地汚いこと、いやらしいこと、理性じゃどうしようもできないことを歌えたらいいなと思います。濱口竜介監督(※)とかまさにそうだと思います。あの人の作品は、モラルとかそういうところじゃないものを表現しようとしてるから、そこにすごく心を打たれるんです。あの気持ちに一番フィットする。まあ目指すとろくなことにはならない気もしますが(笑)。でも、最近作った曲とかも、そういうところが近いかもしれない。良いとか悪いとかじゃない、別のところで何か心打っているのかも。
(※)日本の映画監督 / 脚本家。代表作には米アカデミー賞と世界三大映画祭のすべてで受賞を果たした『ドライブ・マイ・カー』がある。

GOFISH『GOFISH』

カタログ番号:SDCD-058
発売日:2024年5月15日
定価:2,600円+税
収録曲数:10曲
パッケージ:A式紙ジャケット(シングル)、16pブックレット
アートワーク:松井一平
デザイン:惣田紗希
録音・ミックス:内田直之
マスタリング:風間萌(studio Chatri)
1.うれしいだけ
2.果てしない路
3.この窓は
4.けもの
5.肉球ダイアリー
6.サンシャイン
7.真顔
8.荒地にて
9.メロディ
10.嘘とギター