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GOFISHが示す、孤独から歩き出す生き方。「分かり合えなさ」と生きる勇気

2025.7.10

#MUSIC

音楽は発言とは異なる形で心に響く。子どもたちとの関わりを通して受け取った自信

─楽曲には風景とか描写が多いというお話がありましたが、曲作りをする中で、社会の動きに対して影響を受けることはありますか?

テライ:影響を受けた方がいいってつい最近まで思っていたんですけど、そんなことないって思い直しました。社会に対して直接的な意見を発信すること、たとえば反戦の意思を示すことはもちろん大切だけれど、音楽にできることは、それとは少し違うことだと思うんです。それは社会の出来事に興味がないという意味じゃなくて、アプローチの仕方が違うということ。

たとえ楽曲の中で「戦争をやめよう」とはっきり言っていなくても、音楽を通じて描かれた風景や心情を受け取った人が、「心が落ち着いてく」と感じてくれることがある。そういうときに、「あ、じゃあこれで良かったんだ」って思えるし、自分のやっていることにも、ちゃんと意味があるんだなって思えるんです。

─近年では地域アートなどの取り組みも盛んで、アートや音楽が社会と結び付けられて発信されることも多くなりました。テライさんもGOFISHとしてアーティストインレジデンス事業に取り組んだり、小学生の子どもたちが通うトワイライトスクールへ足を運んだり、さまざまな場所で活動をされています。その中で、今までに接点のなかった人たちとも関わることがあったと思いますが、そういった関わり合いの中でなにか変化は生まれましたか?

テライ:これはもうMAT,Nagoya(※)のおかげなんですけど、きっかけを作ってくれた人がいるっていうところがデカイですね。意識は大分変わったかも。港まちの滞在は良かったです。自分の中で何か、ポピュラリティを獲得できるものがあったなと。

(※)愛知県名古屋市港区西築地エリアである「港まち」をフィールドにしたアートプログラム

テライ:小学生が通うトワイライトスクールで、子どもたちと一緒に曲作りをする機会があったんです。その時に、子どもたちが自分の作った曲をすぐに歌ってくれたことが嬉しかった。それって誰にでもできることじゃないんだなと思って、自信にもなりました。子どもたちがやりたいことを歌詞に反映させると、「自分も参加してるんだ」って思ってくれて、自然と集まってきてくれる感じもすごく良かったです。興味もすごく強くて、まさに好奇心の塊のようでした。自分で何か作ることの喜びを素直に表してくれることが嬉しかったし、GOFISHで作ってる曲とも、どこかつながっているような気がしました。

─どういうところでしょうか?

テライ:理屈じゃなく、言葉や音をそのまま受け止めてくれる子どもたちの姿に、GOFISHの音楽がちゃんと届いているというか、開かれているんだって実感がありました。それが、トワイライトスクールの子たちとのやりとりとも重なったというか、音楽を作ることで大事にしたい原点のようなものをあらためて感じさせてもらえた体験でした。あと、”肺”(※)という楽曲があるんですが、知人が運営する幼稚園で子どもたちの間で流行ったと聞いて、それも印象的でした。

(※)アルバム『燐光』収録曲

─“肺”は本当にいろんな人に届いていますね。楽曲を通じて他者と通じ合っている実感はありましたか?

テライ:そうですね。それは子どもたちと一緒にやってたことに限らずすごくありました。でも、特に子どもがそうやっていろんな曲に反応してくれてびっくりした。子どものために何か作ってるつもりなんて、全くなかったから。

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