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ガレを深く知り、ガレに惚れ直す展覧会
展示室では熱を持って見つめるあまりガラスケースに鼻をぶつける人が続出しているようで、清掃スタッフさんが両手に拭き取りクロスを構えては、甲斐甲斐しくガラスケースを磨いてまわっていた(ありがとうございます)。ガレの作品は繊細で人を引き込む力が強いから、ぐっと見入ってしまう気持ちは本当によく分かる。

最後に、本展の面白い取り組みである「静寂鑑賞時間」について触れたい。本展は基本的に全展示撮影OK(静止画のみ)だが、毎日オープンから1時間のあいだは「静寂鑑賞時間」に設定されている。その間の撮影・会話は一切禁止で、静けさの中で作品と対話できるという趣向だ。出会った作品の写真を残したいという来場者の声と、ストイックに作品と向き合いたいという来場者の声、両方に応えるべく導入されたシステムだそう。これはものすごく素敵なアイデアではないだろうか。他の展覧会でもぜひ取り入れてほしい!

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』はサントリー美術館にて、2025年4月13日(日)までの開催。ガレの傑作に囲まれて眼が幸せなのはもちろんだが、心が満ち足りる理由はそれだけではない。本展はパリ万博というポイントからガレを定点観測することによって、時代を駆け抜けたひとりの芸術家がどのように創造を進化させ、そこにどんな背景があったのかを深く理解させてくれる。訪れる誰もが、エミール・ガレのことを確実にもう一段好きになれる、そんな展覧会だと感じた。ぜひこの機会に足を運び、その目で確かめてみてほしい。
『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』

会期:2025年2月15日(土)~4月13日(日)
会場:サントリー美術館
開館時間:10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
※4月12日(土)は20時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
入館料:一般¥1,700/ 大学・高校生¥1,000 / 中学生以下無料
主催:サントリー美術館
協賛:三井不動産、鹿島建設、サントリーホールディングス
後援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ
※作品保護のため、会期中展示替を行います
※本展は10:00~11:00を撮影・会話禁止の「静寂鑑賞時間」としています。詳しくはホームページをご覧ください。
※本展は10:00~11:00を除き撮影可能です。
※本展は富山市ガラス美術館で2024年11月2日〜2025年1月26日に開催された展覧会の巡回展です。