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坂本慎太郎の音楽が、ゆっくりと空気に溶け込む
続く坂本慎太郎は、夕暮れどきというにはまだ早い時間帯。フェスに出たとしても昼間に登場する機会は稀だが、ぼくは去年、姫路でゑでぃまぁこん主催の『ぎゃふん!at シロトピア記念公園』(2023年11月18日)でも、明るい時間帯の坂本慎太郎は体験済み。それでも、見る側にとってはこの明るさと近さは新鮮さがあったようだ。その意識が坂本自身にもあったのか、ライブのオープニングが“ツバメの季節に”だった。これまでライブのアンコールなどで演奏されることが多かったメロウでグルーヴィーな曲だが、この日は少しイントロを長めにした新しいアレンジで、音楽が空気に溶け込むのを待っているような、その淡々とした導入がとても印象に残った。

“幽霊の気分で”“君はそう決めた”“仮面をはずさないで”“物語のように”など、1時間のステージでしっかりとやるべき曲を演奏し、最後は“ディスコって”でエンディング。徐々に照明が存在感を増してゆくなか、想像上のミラーボールが木立を照らしていた。

