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『デッドプール&ウルヴァリン』徹底解説。交錯する2人の「ズッ友」ストーリー

2024.7.24

#MOVIE

© 2024 20th Century Studios / © and ™ 2024 MARVEL.

広がり続けるマーベル・シネマティック・ユニバースの世界に、久々のデカいお祭りがやって来る。デッドプールとウルヴァリン、マーベルコミックスを代表する2大ヒーローが遂にマーベル・シネマティック・ユニバースに合流するのだ。なぜいま、そしてこの2人なのか? アメコミトークライブ『しゃべんじゃーず』主催、アメコミ侍・柳生玄十郎が解説する。

マルチバース vs デッドプール

全世界が待ちに待った『デッドプール』の新作映画が2018年以来6年振りにスクリーンで観られる日が来た。 2019年3月20日に20世紀FOXがディズニーに買収され、X-MENの世界へ繋がる門は完全に閉ざされてしまったが、また新たな扉を開くことになる。これも全てマーベル・シネマティック・ユニバース(略称=MCU)の現在進めている作品テーマである「マルチバース・サーガ」の一計である。

© 2024 20th Century Studios / © and ™ 2024 MARVEL.

マルチバースとは多元宇宙、即ちパラレルワールドの事であり、数多の世界に同じ存在、または性質は異なるが同一個体が存在しているという概念だ。この概念を用いれば、一つの世界で命を失った登場人物が他の世界から移動してきて蘇る事も可能となり、「なんでもあり」になってしまうんじゃないかという危惧はファンの間で盛んに議論されてきた。

しかし、この「なんでもあり」を最大限に活かせるキャラクターがマーベル・ユニバースには存在する。それこそが、今作の主人公、本名:ウェイド・ウィルソン、コードネーム:デッドプールである。彼がなぜ「なんでもあり」を活かせるのか。その理由は彼の逸脱した能力にある。

デッドプールファンはメタ能力を愛している

デッドプールの能力は、ヒーリングファクターと呼ばれる治癒能力である。『デッドプール&ウルヴァリン』のもう1人の主人公、ウルヴァリンのミュータント能力を移植されて得た超能力であり、銃弾や刃物で心臓を貫かれようと、首を斬り落とされようと、爆発で全身粉々になろうと、血の一滴、細胞の一つでも残っていれば再生することが可能である。この能力を得るまでには様々なドラマがあるが、それは映画『デッドプール』の第1作をご覧頂きたい。

デッドプールはこの治癒能力により、元から患っていた末期癌の細胞が治癒と再生を繰り返す全身癌細胞人間となってしまい、その苦痛から狂気に陥ってしまう。しかし、その狂気によって人智を超えた認識能力を得たデッドプールは、自分がコミックや映画の中のキャラクターだと認識できるようになってしまう。そのため彼は読者や鑑賞者に語りかけてくるという超越的なメタ能力(演劇用語では客席を意味する「第四の壁」とも言う)を発揮するに至った。

デッドプールを愛するファンは、このメタ能力を愛している。何故なら、コミックや映画の中の主人公が自分に語りかけてくれたり、現実世界の文化や芸能ゴシップで笑わせてくれるからだ。そして、この「なんでもあり」のメタ能力を用いても世界観が破綻せず、むしろ最大限発揮できるのが最初に述べたマルチバースという概念である。『デッドプール&ウルヴァリン』を楽しみにしているファンの90%以上は、この「なんでもあり」を期待しているのではないだろうか。死んだキャラクターが生き返っても、あっちこっちの世界でキャラクターを皆検閲)しにしても「デッドプールなら仕方ない」にでき得る、唯一無二のキャラクターなのである。

ウルヴァリンと共に

この「なんでもあり」のデッドプールが、今作では自身の治癒能力の生みの親とも言えるウルヴァリンと共に冒険を繰り広げるというのが『デッドプール&ウルヴァリン』である。

ウルヴァリンは原作となるマーベルコミックスでは主人公となるシリーズが多数発行され、映画『X-MEN』のフランチャイズに於いても1作目から3作目まで、そして『X-MEN:フューチャー&パスト』の4作で主役を務め、彼を主人公とした単独作が『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『ウルヴァリンSAMURAI』『ローガン』と、3作も作られるほどの大人気キャラクターであり、そのウルヴァリンを演じるヒュー・ジャックマンを世界的俳優へと押し上げた、当たり役でもある。 そんな超有名キャラクターであるウルヴァリンだが、原作での余りにも悲惨なオリジンストーリーをご存知だろうか。

ウルヴァリンの壮絶なオリジンストーリー

© 2024 20th Century Studios / © and ™ 2024 MARVEL.

ウルヴァリンは18世紀にハウレット家という貴族の家に生まれ、ジェームズと名付けられた。病弱だが父に愛されていた彼は、メイド見習いの少女ローズと仲良く幸せに暮らしていた。しかしその幸せは突如奪われる。

ジェームズの愛犬を貧富の妬みから殺し、屋敷を追放された庭師のローガンは、逆恨みで猟銃を携え屋敷へ侵入し、ジェームズの目の前で父を射殺してしまう。ローガンの凶行から母を守ろうとしたジェームズが、ローガンに飛び掛かったその瞬間、ジェームズの拳から6本の爪が現れ、ローガンはその爪に貫かれ死亡する。さらに、実はローガンと隠れて愛し合っていた母は、ローガンの後を追って彼の猟銃で自殺してしまう。そして、ジェームズは母と庭師ローガンの間に生まれた子供だったことが判明する。心的外傷により記憶を失い自分の名前も分からなくなったジェームズは、メイド見習いの少女ローズから「ローガン」という名前だけを教えられる。その後、軍に入り、アメリカ独立戦争、南北戦争、第一次、第二次世界大戦と、戦場を転々と渡り歩く不死身の傭兵となったジェームズだったが、この頃には、事故でローズをも失っていた。

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