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パーソナルなものを表現できるのが、アコースティックなサウンドだった
ーそもそも山本さんって、音楽的なルーツはどんなところにあるんですか。Art titleの作品を聴いてると1990年代のUKロックからの影響を強く感じるところがあるんですけど。
山本:UKロックはおそらく人生で一番聴いていた音楽なので、意識せずとも素で出てきてしまう要素なんだと思います。で、ソロに関してはまずは弾き語り主軸で曲を作っていくんですけど、なるべくアコギを入れるように意識してますね。バンドはエレキギターが3人いるんですけど(笑)。
ー今の時代、トリプルギターってなかなか珍しい。
山本:そうなんです。Radioheadになりたくてそうやってたんですけど、実際やってくと、単純にエレキギターが多いなっていう。
ー(笑)。
山本:ただ自分の場合はどうしても、自然にやるとギターが鳴ってるサウンドになるんですよね。だったらアコギも弾きたいし、単純にアコギに置き換えたほうが音的にもスッキリするな、みたいなところもあって。
ーよりパーソナルなもの、距離感が近いものを求めた結果、アコギに行き着いた部分もあったりするんですか。
山本:確かにそれはあるかもしれないです。生々しいというか、マイクに乗る空気感はアコースティックなもののほうが録れるし。手元の衣擦れの音とかも入っちゃうような、そういうのが音として好きなんですよ。
ーそういうものがしっくりくる。
山本:そうですね。

ーその上で、“船出に祈り”から“バベル”までの楽曲群は、フォークやカントリー的なアプローチからEDM、オルタナティブR&B、モータウンやヒップホップなど、様々なアプローチがなされていました。これは自分に最適なアプローチを探っていった結果なのか、それよりも純粋な好奇心が強かったのか、どんな感じだったんですか。
山本:好奇心が強いかもしれないですね。それこそ根本にある自分が曲を作る意味合いみたいなものとはまた別軸で、音楽でいろいろ実験したいみたいな気持ちもあって。なので、割と直近で聴いている音楽にかなり影響を受ける節はあります。制作スタイル的にもタイムリーな状態で出すことが多いので、その時期に聴いたことが、素直に出ているのかなと。「こういうの、面白そうだな」と思ったことをフレキシブルに反映させているかもしれない。