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daisansei安宅インタビュー 不器用だから歌える、1対1の物語

2024.11.22

daisansei『before you leave』

#PR #MUSIC

たくさんの人を大切にするのは難しいし、1対1の物語以外はこの世に存在しない

―今回のEPって、ある人が、近くにいる誰かや、あるいは心の中にいる誰かに呼びかけている、そんな光景が描かれていると思うんです。ご自分の描く歌詞が「人と人」の物語になるのって、何故なのだと思いますか?

安宅:それ以外のことが、あまりわからないんですよね。自覚がある部分で言うと、自分はたくさんの人を大切にするのは難しそうだなと思っています。せいぜい自分の周りの4マス……最大8マスかな。『風来のシレン』とか『トルネコの大冒険』的に言うと、ですよ。極端なことを言うと、「1対1の物語以外はこの世に存在しないのではないか?」とすら、どこかで思っているかもしれない。だから「誰かと誰か」の話になるのかもしれないです。

―先ほど「例外」とおっしゃっていた3曲目の“ブーケトス”は「結婚」がモチーフになっていますが、この曲は安宅さんにとってどのような曲ですか?

安宅:このEPを作る前に、結婚、出産、入学、卒業、そういうわかりやすい節目の歌が俺には1曲もないなと思ったんです。だから、最初はそういう特別な日の歌をまとめた作品集にしようと思っていて、それで作ったのが“ブーケトス”でした。この曲以降、特別な日の歌は1曲もできなかったんですけど(笑)。

―「特別な日の曲を作りたい」というのは、何故そう思ったんですかね?

安宅:自分の曲は、いつも切り取り方が一瞬すぎるなと思って。だって、“in the cape”なんて10秒くらいの間に起こっていることを歌っているだけですからね。もっと言うと、風景描写はあるけど、頭の中だけのことを書いたような歌詞だし。そういう歌詞が自分は好きなんですけど、「そうじゃない曲は作れるのか、お前は?」というチャレンジ的な意味合いでした。

―1曲で切り取るのは5秒とか10秒くらいのことだ、という部分は安宅さんの中で一貫されている作家性ですよね。

安宅:そもそも、無理があると思うんですよ。3分とか4分の曲にシーンを何個入れる? と考えたら、1個か2個だと思う。そこにさらにオチまで付けたりしたら、そのために書かれたなにかに見えてしまう。自分にとって大切なのは、自然に書くこと。無理がないこと。その曲の長さで切り取ることができて、その長さの中でちゃんと思いが変わっていくこと……そういうことなんですよね。

―今も映像的な表現をされましたが、そういう安宅さんの中に思い描く景色を表現する形式として、テレビの仕事に就いた経歴もありながら、今は映像作品ではなくポップスを選ばれているじゃないですか。何故、安宅さんはポップスという表現形態を選ばれているのだと思いますか?

安宅:原点は、くるりを聴いて「これをやりたい」と思ったからに尽きるんですけど、そんなに音楽人生でもないんですよ。ただ大きかったのは、うちは家族の仲がいいんです。子供の頃に車の中で井上陽水やユーミン(荒井由実)が流れていて、それを俺が覚えて歌ってあげると、親がすごく喜んでくれたのが嬉しくて。車の中で歌が流れて、それがふたりの人間を繋いだりする。そうなることがポピュラーミュージックのあるべき姿で、喜ばしいことなんだってずっと思ってましたね。

―じゃあ、daisanseiの曲も誰かに歌ってもらったり、誰かを繋ぐものにしたいということですね。

安宅:本望ですね。まぁ「俺が歌うのが一番いいけどね」とは思いますけどね。

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