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daisansei安宅インタビュー 不器用だから歌える、1対1の物語

2024.11.22

daisansei『before you leave』

#PR #MUSIC

瑣末なことばかり考えてしまう人に向けて

―この『before you leave』EPを聴いたときに僕が感じたのは、なにか失われたものに対しての喪失感があって、でも、「そこにそれはあった」という余韻みたいなものも確かにあって。空いた穴はいつか埋まるんだろうけど、でも、今はその穴を見つめているし、そこに少なからず愛おしさもある。そういう、すごく刹那的な瞬間がパッケージされているということだったんです。

安宅:「どこ切り取ってんだ?」という話ですよね。リアルすぎますよね。でも、本当にそういう感じだと思います。その「失われたもの」というのは、特定の誰かとかドラマチックな出来事というよりは、バンドをはじめてからしばらくの青春だったという。当時は、よく感情も振れていたなぁと思うんですよね。すぐ泣いていたし、よく山に逃げたりしていたんですけど(笑)、でも、今はフラットでいられるようになってしまったかもしれないなぁと思う。

―安宅さんは、今はおいつくですか?

安宅:今年、33歳の年です。20代半ばでdaisanseiをはじめたときは、あまり周りの変化を感じなかったんですよ。周りの変化というのは、老いとか、見た目とか、本当にいなくなってしまったりとか。関係性にしても、まだ中学生の頃の延長上くらいの感覚でいられたと思うんですよね。それが、徐々に年齢を重ねていくうちに、「こんなに親って老けていたっけ?」と思ったり、周りに子供もどんどん生まれるし、「姪っ子がもう小学生なんだ」とか「高校生だと思っていた従妹はもう社会人なんだ」とか、そういう気づきも、バンドの第1章の終わりと重なったんですよね。もしかしたら、ずっとわけのわからないトンネルを歩いていたのかもしれない。で、「一旦出るか」と思ってトンネルを抜けたら、全然違う世の中になっていた、みたいな。

―先ほど「どこを切り取ってんだ?」とご自分でおっしゃいましたけど、そういう人生の瞬間や感情を切り取る人なんだということですよね、安宅さんは。

安宅:もう……仕方がないですよね。

―(笑)。

安宅:嫌なことがあったら落ち込んで、美味しいものを食べたら元気になって、友達と映画に行くのが趣味で、結婚式で涙して、みたいな……そうやってクッキリハッキリと反応できる人もいれば、いらんことを考える人っているじゃないですか。何も起きていないのに、何故か急に悲しくなって、何かを憂い出して、変なゾーンに入ってしまう人も世の中に絶対にいて。自分はそれだと思うんですけど。「知らんがな」って感じですよね。自分が恥ずかしいですよ。大人になるにつれて考えなくなったり、どうでもよくなることって絶対にあるはずなんですけど、そこを置いていけないのは……嫌ですよ、ほんとに。どうしましょうね。

―でも、そうやって考え、感じたことをこうして作品にしたことで、安宅さんご自身に返ってくるものもあるんじゃないですか?

安宅:作品を作るとなると、「自分は次に何を思うのか?」ということをちゃんと察知していかないといけないから、「こういう気持ちがあったことは嘘じゃない。じゃあ、次は何を思うんだろう?」ということに、ちゃんと向き合わせてくれるという部分はあると思います。

終わりのあるものを作りたいんですよね。ぬるっと行きたくないのかもしれない。一旦、このテーマでやれるだけやりました。じゃあ、次へ……って、わかりやすい階段みたいになっていないとダメなのかもしれないです。ただただ長い通路はしんどい。

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