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daisansei安宅インタビュー 不器用だから歌える、1対1の物語

2024.11.22

daisansei『before you leave』

#PR #MUSIC

『before you leave』EPに通底する寂しさの正体

―そのような変化の中で、楽曲についてもお聞きしたいと思います。例えば本作の中で最初にできたという“in the cape”は<134号線 潮風に揺れて ひしゃげた空き缶がカランコロン>と歌い出されますが、134号線というのは湘南の方の国道ですよね。すごく写実的に書かれていると思うんですけど、安宅さんにとって、この曲はどのような景色が表れていると言えますか?

安宅:上京してから一番よく行く海が江ノ電沿い、長谷とか由比ガ浜とか、あの辺なんですよね。134号線はそのあたりを通っている道路で、その景色が好きなんです。地元は秋田なんですけど、実家は海に近い場所だったし、海が好きなんですよね。“in the cape”は気軽に作ろうと思って作った曲なので、ギターのリフもメロディも割と単調に繰り返しながら、そこに自分の好きなもの……海とか、いろんな景色が出てくる。淡々と、「青白い景色だな」という感じで。最近は、なんというか……寂しいんですよ。ずっと寂しい。だから、寂しいこと書いてやろうと思って。

―「寂しさ」というのは、この『before you leave』というEP全体にまとわりついているものだと思うんですけど。その寂しさは何に所以しているものなのだと思われますか?

安宅:最近、それが判明したんです。きっと、このバンド活動は俺にとっての第1の青春だったと思うんですよね。俺、それまではそんなに青春を謳歌していなかったっぽいんですよ。ドキドキもしていなかったし、中途半端だったし。その壁を破れるかもしれないと思って20代半ばでこのバンドをはじめて。それはきっと青春のはじまりだったんですけど、5年くらいやってきて、その青春が「一旦、終わったな」と感じています。曲を苦しみながら作って、その曲をバンドに投げて戦いながら作っていくとか、「この言葉にはこの音が合うんじゃないか」って1音1音をバンドのみんなで探り当てたりとか。ふわっとした目的に対して、がむしゃらに瞬間瞬間をやっていく、その熱が一旦、平坦になったんだと思います。大きく言うと、第1章が終わった。その熱のあとの寂しさなんじゃないかと思うんです。

―なるほど。

安宅:でも、寂しさがあるということは、逆に言うと、根付いてきたものがあるということでもあって。生活と一緒になってきたということでもある。安心と、落ち着きと、でも「あのときのドキドキやきらめきは失われてしまった」っていう寂しさ。それで次はなにを大切にしよう、と思ったときに浮かぶ大切なものたちについての曲たち……ざっくり言うと、今回のEPはそういう感じです。

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