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映画『教皇選挙』レビュー 世界最古の家父長社会を舞台に「民主主義」を問う

2025.3.20

#MOVIE

秘密選挙に渦巻く陰謀

教皇選挙(コンクラーベ)とは、カトリック教会の最高位である教皇の死去あるいは辞任のあと、新たな教皇を選出するために実施されるもの。選挙権を有する高位聖職者の「枢機卿(すうききょう)」は、世界中からバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂に集められ、選挙の秘密が漏洩しないよう、また不要な影響を受けないよう、新教皇の選出まで外部との接触や電子機器の使用を禁じられる。ひとりの候補者が全体の3分の2の票を得るまで、投票は何度でも繰り返されるのだ。

選挙を管理する責任者となったローレンスは、次々にやってくる候補者を出迎える。下馬評で最有力とみなされていたのはリベラル派である親友ベリーニだったが、保守派で嫌われ者のトランブレ、イタリア人の教皇を望む伝統主義者のゴッフレード・テデスコ、初のアフリカ人教皇になるかと注目されるジョシュア・アデイエミらも同じく有力候補だ。

テデスコ (セルジオ・カステリット / 中央)。© 2024 Conclave Distribution, LLC.

ただでさえ重責に苦悩するローレンスを、突如浮上した2つの謎がさらに追いつめる。ひそかに教皇が承認したという、参加者リストに掲載されていないアフガニスタン・カブール教区の枢機卿ヴィンセント・ベニテスの来訪。そして、教皇が死の直前にトランブレを解任していたという証言だ。つまり、ここには「招かれざる客」がすでに2人もいる。その事実を知ったベリーニは、「年老いた教皇には正常な判断能力がなかった」と断じるのだった。

公正な選挙を実行するため、管理役であるローレンスはグレーゾーンに足を踏み入れる。自らが外部と接触できない以上、助手のレイモンド・オマリーを派遣して事態の真相を探らせるのだ。ローレンスがシャーロック・ホームズなら、オマリーはジョン・ワトソンである。

ベニテスは本当に見かけどおり誠実な男なのか。教皇がトランブレを解任したという噂は真実なのか。それが真実だとしたら、いったいなぜ、何のために?

トランブレ(ジョン・リスゴー)。© 2024 Conclave Distribution, LLC.

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