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世界でなく「誰かのために」という切実な願い

兆は、四季を救うという個人的な欲望のために、文太(大泉洋)、桜介、円寂(高畑淳子)、半蔵(宇野祥平)に何が起きるか予測がつかないEカプセルを飲ませてエスパーにした。彼らが選ばれたのは、兆が生きる理由や意味を与えなければ1年以内に死んでしまう運命の人物たちだったから。居ても居なくても影響がない、この世界に関与していないと兆が判断した人物たちを利用していたのだ。
兆が利用したのは、誰の心にもある「誰かの役に立ちたい」という根源的な欲望だ。4人はそれぞれ過ちを犯し、取り返しのつかないことをしてしまった人物。やり直せるのならやり直したいという、4人が抱える過去への後悔を兆は利用し、ヒーローとしての役割を与えたのだ。彼らなら「ヒーローとして誰かに必要とされる」という餌に釣られるはずだと思ったのだろう。
一方で、円寂は「世界なんてどうでもいいのよ」「でも、目の前の四季ちゃんを救うってことならわかるじゃない」と第2話で語っていた。ヒーローという誰もが思わず憧れてしまう役割を与えられて、よくわからないミッションをこなしてきたモチベーションは、一人ひとりの人生を良い方向に導きたいという優しさだったのかもしれない。
自分のことを救ってくれなかった世界なんかよりも、自分の大事な人や目の前の人のために。円寂は、ちょっとだけでも、身近な人のためになれば良かったのだ。このことを踏まえると、第7話で、救ったはずの千田守が亡くなっていたことを知り、立ち尽くしていた後ろ姿や、第8話で半蔵に「夢みたいだったわね」と呟いていた場面にどうしようもない切なさを感じる。
こっちのけんとによる主題歌”わたくしごと”のAメロには、<この世に僕がいないと誰か困るのかな><誰かのために生きられたなら>という歌詞がある。世界のためではなく、誰かのために。この歌詞は、いつ死んでも構わないと生きていた4人の切実な願いを表しているのかもしれない。