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後悔を抱える久条と桜介が現実を受け止める理由

実際には、2055年を生きている兆。過去にホログラムを送り、立体映像として実在するように見せることができたり、エスパーの能力が発現するEカプセルが開発されたりと技術が進歩した未来を生きているからこそ、四季と過ごした幸せな日々とその未来を取り戻したいという願いが強くなったといえる。そんな兆と対比されるのが、過去に後悔を残しながらも今を生きようとしている久条(向里祐香)と桜介(ディーン・フジオカ)だ。
久条は高校の同級生・八柳(小島藤子)を救えなかった後悔を残しているからこそ、兆に立ち向かおうとしている。第6話で描かれた久条と八柳のやりとりからは、友人以上のなにかを予感させる雰囲気があり、久条にとって八柳は失いたくない「世界」そのものだったのかもしれない。

また、桜介は大切な家族を守りたいという想いで罪を犯したことにより、妻・瑞希(徳永えり)と息子・紫苑(新原泰佑)との日常を失っている。戻れるならあの頃に戻りたいと願いつつも、そばで紫苑を見守り続ける。紫苑からどれだけ敵視されようとも、父親であることは絶対に告げないのは、あの頃に戻りたいのと同じくらい、紫苑の世界を壊したくないという思いがあるからだろう。
過去に戻れないという縛りは、前を向いて生きざるを得ないという諦めにつながる。久条も桜介も現実を受け止めて生きるしかないのだ。
そんな久条と桜介の生き方と比較すると、兆は過去に関与できる技術のある時代を生きているからこそ、四季を取り戻したい欲望が暴走してしまったように見える。その点、本作は、技術の進歩がもたらす悲しみも示唆しているのかもしれない。