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コンセプトは「羊羹ミュージック」。美味しいうえ長持ちし、「日本らしさ」がある
ーシャッポの音楽性を既存のジャンルで定義するのは難しいですけど、結成時には音くんが「羊羹ミュージック」というコンセプトを掲げていたそうですね。その言葉は今も意識していますか?
福原:悠太くんが意識してるかはわからないですけど……多分意識してないよね?
細野:(無言で頷く)そう言えばあったなあ、みたいな感じ。
福原:僕は割と意識してるというか、根幹にあります。
ー「甘くて美味しくて楽しいけど、ちゃんと深みもある」みたいな意味合いだそうですが、音くんの中ではそこからより踏み込んだ意味もありますか?
福原:「日本らしさ」は結構考えています。僕は大学が哲学科で、九鬼周造とか日本の美学分野を勉強してたのもあって、「日本人だと西洋の文化に追いつかないからこそ」みたいな逆転の発想じゃなくて、「もともと育まれた日本人の感性」をもっと音楽に生かしたいという感覚がずっとあって。
羊羹はもはや懐かしいものになっているけど、でもずっと馴染みがあるし、甘みへの喜びは変わらないじゃないですか。“そのあと”はそういうコンセプトで作った曲ですね。ファッション化されてない日本らしさというか、わかりやすくないオリエンタリズム、日常にあるオリエンタルみたいな感じ。
ー羊羹って独特な立ち位置かもしれないですね。お米みたいに「日本を代表する食べ物」とはならないけど、でも誰でも知っていて、日本らしさを感じる。
細野:深層心理でみんなに共通してる何か、みたいな。
福原:あんなに甘いものが暗い色っていうのは結構いいことだと思う(笑)。
ー羊羹は保存食だから、「すぐに消費されずに長く楽しめる」という意味で、音楽の例えとしてはいいなと思って。
福原:確かに、それいただきだ。
ーあとWikipediaで調べたら羊羹を数える単位は「棹(さお)」らしくて。2人もギターとベースという「棹」を使ってるわけで、ぴったりだなって(笑)。
福原:すごい。どんどんよくできた話になってきた。黒歴史化してたんですけど。
ー羊羹だけに。
細野:いいエピソードをいただきました。
