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『Live O Rec』は、ライブ作品の「制約」をどのように外していったか
─ライブから一番表情を変えた曲は?
高城:“Evening News”は、ライブテイクというより、あらぴーが自分で録り直したから、ほぼスタジオテイクとも言えるんじゃないかな。
橋本:僕が一番変えたのは“Poly Life Multi Soul”かな。
高城:あれは時空が曲がりまくってるよなー!
橋本:歌が入るところまでは別のライブなんですよ。
高城:そう、あれは2022年の野音(7月16日)のテイク。
橋本:その前の“outdoors”は2020年に野音で無観客配信をしたときに多摩川で撮った映像と当日(6月27日)のライブのミックス。そこから2022年の野音の“Poly Life Multi Soul”につないで、歌からようやく去年のライブになる。
最初はLIQUIDROOMの音源で通してミックスしてたんだけど、後で高城くんから、野音でやったときの“outdoors”と“Poly Life Multi Soul”のつなぎが気に入ってるから入れたい、と提案があって。まあ今回は、やったらダメなことなんかない作業だったから、つなぎだけ変えたんです。
荒内:アウトロも違う日のテイクを使ってない?
橋本:そう、ベーシックには12月3日のテイクを使ってるんだけど、エンディングは初日(2日)を使ってる。
─“outdoors”の導入に使われているのが、コロナ禍の多摩川でのアコースティックセッション映像の音源(無観客ライブに配信で使用された別映像より)というのも印象的。曲から曲へ時系列が提示されたことで、今のceroがたどってきた道筋を奇しくも表現しているように思えます。なんなら“outdoors”はceroのレパートリーに残っているなかでは一番古くからある曲のひとつでもあるし。
高城:確かに。もっともっと古いアーカイブから出してきても面白いかもね。
橋本:あらぴーが初期に使ってたサンプラーがあったじゃない? 僕がまだメンバーじゃなくて客としてceroを観に行ってた頃、“outdoors”であらぴーが声を逆再生にしたような音源をサンプラーで鳴らしていて、すごくよかったんですよ。それを使えたりしたら面白いねとか話してたね。結局使われなかったけど。
荒内:使ってもよかったよね、あのサンプラーまだあるし。スイッチ入るかわからないけど。
橋本:じゃあ、それはまたの機会に。